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2015 10,12 11:31 |
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【a024】失語症への長期的対処:会話パートナープログラムはどこまで届くか? ☆
「Addressing the long-term impacts of aphasia: how far does the Conversation Partner Programme go?」 Ruth Mc Menamin, Edel Tierney and Anne Mac Farlane ほか Aphasiology Vol 29 Issue 8, 2015, p889-913 12ヶ月間会話パートナープログラムを受けている失語症者5名から心理面・社会面の問題について実情を聴取したという報告。 その結果、失語症者としての生活経験から(1)就学前への逆戻り感、(2)疲労感、(3)刑務所のよう、(4)感情、(5) 言葉を話すことができない、(6)疎外感、(7)変化と適応、(8)家族、の8つのテーマが得られたとのこと。 そして家族外の人と接する会話パートナープログラムが「就学前への逆戻り」のようなコミュニケーションの負の感情や「言葉を話すことができない」という感覚を軽減することが明らかとなり、 社会的なプログラムが疎外感や刑務所のような感情を軽減することができると考えられた、と著者らは結んでいます。 会話パートナープログラムはコミュニケーションの不便さの解消やコミュニケーションスキルの向上などがその意義として挙げられますが、患者本人が抱くさまざまな心理・社会的問題の軽減に役立つことを示す報告です。 特にコミュニケーションというだけで言えば相手は家族でも良いことになりますが、家族外の人間とコミュニケーションとることの意義と効用を教えてくれています。 PR |
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2015 09,28 13:14 |
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【a022】失語症を背景とした選考に基づく健康関連QOL ☆
「Preference-based health-related quality of life in the context of aphasia: a research synthesis」 David G. T. Whitehurst, Nicholas R. Latimer, Aura Kagan ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p763-780 8つの出版物・6研究から失語症者の健康関連QOL(HRQOL)の評価状況を調査した報告。 結果、幾つかではEQ-5Dが使われていたが、HRQOLの評価がなされていなかったり、一つでは画像に基づいたEQ-5Dバージョンが考案され用いられていたとのこと。 失語症でのHRQOL評価の妥当性や実証研究には不足があり、今後開発や大規模な検証が必要だろうと著者らは結んでいます。 HRQOLは様々な疾患の患者さんや健康な方のQOLを測定する質問紙です。 これにはSF-36、SF-12、SF-8など様々なバリエーションがありますが、EQ-5Dは「移動,身の回りの管理,普段の活動,痛み/不快感,不安/ふさぎ込み」の5項目からなるバージョンです。 今の状態と完全に健康な状態との比を計算することで効用値を算出します。日本版も出ていて世界中で広く用いられていますが、当然失語症は想定されていません。 失語用に改変バージョンを作っても信頼性に欠けてしまいます。失語症者に用いたいなら、可能かどうかは分かりませんが著者らの言うように何らかの抜本的な対策が必要です。 【a023】意味障害と動詞過去形の産生:不規則動詞の過去時制産生の近接と頻度 ☆ 「Semantic impairment and past tense verb production: neighbourhood and frequency modulation of irregular past tense production」 Lara Harris and Glyn Humphreys Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p799-825 後頭葉皮質萎縮および意味的障害を持つ一症例に動詞産生テストを実施、動詞過去形の産生で意味的に曖昧な場合に音韻的近接が手助けになるかどうかを調査したという研究。 結果、単語頻度や意味の手助けが低い場合に音韻的近接の効果は非常に強く働いたとのことです。 英語動詞の不規則な過去形の生産は意味との関連で単一機構モデルで説明可能と考えられる、と著者らは結んでいます。 英語では動詞が過去形になる場合にgo-wentのように全く変化してしまう不規則動詞がありますが、その中でもsleep–sleptのように音が似ているものがあります。 不規則動詞でも意味がしっかり想起できている場合や高頻度語では過去形想起に差はないが、意味が曖昧な場合・低頻度後の場合には似ているものが想起しやすかったということです。 日本語とは全く異なる体系ですので動詞の不規則変化といっても馴染みのないところですが、音韻類似効果そのものは日本語でもあり、語頭音ヒントもこれと似たようなものです。 意味と音韻の単一機構モデルも、そもそも同一機構で構築して問題ないものと思われますし、そのようなモデルもあります。特に新規性はみられないように思われますがどうでしょうか。 |
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2015 09,14 05:28 |
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【a020】失語症における動詞産生上の個人ー社会性指向グループ療法の効果 ☆
「Effects of impairment-based individual and socially oriented group therapies on verb production in aphasia」 Elizabeth Louise Hoover, David Caplan, Gloria Waters ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p781-798 12名の慢性失語症者に6週間の間隔を置き個人・グループ・混合の条件で動詞訓練を行ったという研究。 結果、言語機能・コミュニケーション能力・QOLで有意な変化がみられたが、個人・グループ・混合の条件による差はなかったとのことでした。 個人訓練とグループ訓練のいずれが優れているか、というのはずっと議論されている問題です。 いまだに結論は出ておらず、今回の報告でも差はなかったとのことですが、グループにはグループの長所、個人には個人の長所があるのは間違いないと思われます。 そして外向的な人と内向的な人があるように、個々人の性質によってグループに向いているケースと個人に向いているケースがあるというのが本当のところではないでしょうか。 もうひとつ、グループ訓練はファシリテーターの技量や構成員の資質によって治療効果が大きく左右されます。 盛り上げ役やムードメーカーというような存在の有無です。そのあたりをどのようにコントロールするか。 これはこうした調査を行うには考慮されるべき重要な問題と考えられます。 【a021】 脳卒中後の早期失語症訓練:急性期と亜急性期における行動および神経生理学的変化 ☆ 「Aphasia therapy early after stroke: behavioural and neurophysiological changes in the acute and post-acute phases」 Annelies Aerts, Katja Batens, Patrick Santens, ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p845-871 脳血管障害で発症した47歳中程度非流暢性失語の男性。 急性期に7週間で30時間の従来的言語訓練、亜急性期の3週間に30時間の集中的言語訓練、さらにあと3週間に30時間の第2期集中的言語訓練を実施したという研究。 それぞれの期ごとにN400およびP300の事象関連電位を測定し行動および神経生理学的変化をみています。 結果、症例はどの訓練後でも全般に事象関連電位に改善を認め、非治療期にも改善は維持されたが、N400でみると集中的言語訓練の方が従来的訓練に比べ良好であった、とのことでした。 事象関連電位 (ERP) とは、計測される脳波の中で思考や認知などの結果と考えられる波形です。 P300やN400がよく用いられ、N400 とは刺激提示から約 400 ミリ秒後に発生する陰性の電圧変位、P300 成分とは刺激提示から 300ミリ秒後に発生する陽性の電圧変位です。これが現れるとなんらかの高次脳活動がなされたということになりますが、もちろん詳細なことまではわかりません。 この研究では改善指標として事象関連電位を使っていますが、これで分かるのはあくまで何らかの高次の脳活動がみられたということだけです。 詳細は分かりませんから、やや割り引いて考える必要があります。 それでこの集中的言語訓練は3週間に30時間ですから1日平均で約1.5時間という計算になります。 比較対象になっている従来的訓練の方は7週間で30時間ですから1日平均0.6時間です。 集中的言語訓練は従来的訓練の2.5倍行っている計算になりますね。 これだけではなんともいえませんが、発症からの時期よりも実施の合計時間の方が改善要素として大きい可能性もあります。 |
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2015 08,24 07:31 |
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【a020】健忘失語症における意味プライミング:クロスモダール方法論を用いた調査 ☆
「Semantic priming in anomic aphasia: a focused investigation using cross-modal methodology」 Simone R. Howells and Elizabeth A. Aphasiology Vol 29 Issue 6, 2015, p744-761 11名の健忘失語症者と11名の健常者に語彙判断課題を実施、ターゲット語と関連語・無関連語・非語のペアで意味プライミング効果の有無を調べたという研究。 結果、健忘失語症者はコントロール群に比べ反応時間は遅いが、より短い潜時でプライム効果がみられたとのことでした。これらは新たな評価や技法に繋がる可能性があると著者らは結んでいます。 意味プライミング効果とは、事前に脳に入った刺激により脳の意味判断機能が活性化、つまりエンジンがかかった状態になり、次に入った刺激の意味把握がされやすくなるという現象です。 これを利用したトレーニング法としては意味セラピーという健忘失語症者の喚語訓練が有名です。今回の論文ではプライミングの状況を詳しく調べてはいますが、正直なところ意味セラピーを上回るような新たな評価や訓練法に繋がるデータとはいいがたい印象です。 著者らも具体的なビジョンは呈示していません。新たな評価や訓練法に繋げるにはなんらかのもうひとひねりが必要と思われます。 【a021】失語症における音声セグメンテーション ☆ 「Speech segmentation in aphasia」 Claudia Peñaloza, Annalisa Benetello, Leena Tuomiranta ほか Aphasiology Vol 29 Issue 6, 2015, p724-743 120名の若者と14名の慢性失語症者、そして14名の高齢者に人工言語を用いたセグメントテストを行い、セグメント能力を調べた研究。 結果、失語症者は全体ではセグメントはできており、高齢者と差はなかったが、個別にみると左下前頭領域損傷の4例がチャンスレベルを下回っていたとのこと。また、セグメント能力は失語症の重症度と関連はなく、言語性短期記憶と相関していたとのことでした。 セグメント能力とは「そこにいぬがいる」と連続して耳に聴こえた音に切れ目を入れ、「そこ」「に」「いぬ」「が」「いる」という言葉の連なりだな、と判断できる能力のことです。 これができなければ聴いた音を単語に分解できず意味の理解はできなくなってしまいます。セグメント能力から失語の理解障害を考えるというのはレアな視点ですが、問題はなぜセグメントが困難になるかということです。 著者らは言語性短期記憶の問題を指摘していますが、これのみに原因を帰するだけで良いのかは疑問です。理論的には、言語性短期記憶の問題だけでなく、音の認知が悪い場合、語彙判断が悪い場合、いずれも考えられます。ここは重要な点ですのでもう一段深い検証が必要でしょう。 |
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2015 08,10 07:05 |
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【a017】 言語理解とワーキングメモリの寄与:失語症タイプの差異効果 ☆
「The contribution of working memory to language comprehension: differential effect of aphasia type」 M.V. Ivanova, O.V. Dragoy, S.V. Kuptsova, ほか Aphasiology Vol 29, Issue 6, 2015, p645-664 アイトラッキングを利用してワーキングメモリー課題を流暢性失語19名、非流暢性失語16名、健常者36名に実施、失語と認知機能障害の関連を検討した研究。結果、失語群はワーキングメモリー課題成績が有意に低下しており、非流暢群では言語理解との関連が見られた、とのこと。これらから著者らは失語には認知障害が合併する可能性があり、それらは言語症状をより悪化させる傾向がある、と結んでいます。 アイトラッキングは視線移動を可視化してくれる装置、ワーキングメモリーは数十秒〜数分間だけ作動する記憶の一時避難機構です。ワーキングメモリーの障害の有無は失語があるとよく分からないのですが、アイトラッキングという非言語的な手段を使えば失語の影響を受けないのでその障害を検出できるということです。ただ結果はどうもすっきりしません。結果からは失語とワーキングメモリーが関連するということになりますが、記憶を一時避難させておく際に言語的なバックアップができないために生じたワーキングメモリーの低下なのか、損傷部位が失語とワーキングメモリーで重なる面があるから生じた低下なのか、単に失語だと脳の損傷量が大きいために生じたーワーキングメモリーの低下なのか、このままでは色々な解釈が可能です。ここはやはり脳の損傷量をマッチングさせた脳損傷非失語群を設定し、そことの比較をすべきでしょう。アイトラッキングを用いた評価は有望ですが、議論はデータが揃ってからということになるでしょう。 【a018】流暢失語症の談話における語彙不足の影響 ☆ 「The effect of lexical deficits on narrative disturbances in fluent aphasia」 Sara Andreetta, Andrea Marini Aphasiology Vol 29, Issue 6, 2015, p705-723 流暢失語症20名と健常者20名に談話をさせ、ミクロ言語学な語彙・文法障害がマクロ言語学な談話産生にどう影響するか検討した研究。結果、語彙障害は談話の一貫性を低くし、語彙の減少は産生エラーの一貫性と相関がみられたとのこと。これらからミクロ言語学な困難はマクロ言語学な処理に影響すると考えられ、ミクロ言語学とマクロ言語学それぞれのレベルを評価する必要がある、と著者らは結んでいます。 マクロ言語学とは談話など人の言語行動に関するあらゆる事柄を対象とした研究で、ミクロ言語学とは社会とは切り離した個人の言語構造などを対象とした研究です。従来の失語症分析はミクロ言語学的な視点が中心でしたが、近年はマクロ言語学の勃興を反映して失語に対しても談話研究が比較的盛んになされるようになってきました。要するにコミュニケーションとか伝達性という視点を入れて考えようということで、著者らもその重要性を提言したいようですが、今のところまだエポックメイキング的な展開には至っていないようです。 【a019】 外傷性脳損傷後のジェスチャーの使用:予備的な分析 ☆ 「The use of gesture following traumatic brain injury: a preliminary analysis」 Min Jung Kim, Julie A.G. Stierwalt, Leonard L. LaPointe ほか Aphasiology Vol 29, Issue 6, 2015, p665-684 30名の外傷性脳損傷者と32名の非脳損傷者にAdolescent成人喚語テストを行い、ジェスチャーの使用頻度やパターン、使用手を調査したというもの。結果、外傷性脳損傷者では3倍多くジェスチャーを使用しており、特に指差しが多かったとのこと。外傷性脳損傷者でのジェスチャーは語彙検索を容易にしているのではないかと著者らは推測しています。 ジェスチャーというのは非言語的コミュニケーション方法の代表的なものですが、健常者でも多用する人もいれば、ほとんど使わない人もいます。注目させようとして使う人もいれば、自分の抽象概念を形にしたくて使う人もいます。無意識に使っている人も多いと思います。ジェスチャーとは実に多様な意図が込められた、決して一様ではない現象です。脳損傷者、特に失語症者でジェスチャーがどう使われているのか、一度徹底的に分析してみることは必要なことと思われますが、意図や方法、病前習慣や伝達内容など全て勘案して分析しないとせっかくの労力がもったいないことになってしまいそうです。 |
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2015 07,27 06:54 |
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【a015】 二重課題パラダイムを用いて、失語症者と非失語症者で注意配分を評価するための新規な視線追跡方法 ☆ ☆
「A novel eye-tracking method to assess attention allocation in individuals with and without aphasia using a dual-task paradigm」 Sabine Heuer, Brooke Hallowell Journal of Communication Disorders Vol 55, May-June, 2015, p15-30 26名の失語症者と33名の健常者にシングルとデュアルタスクの注意課題を行いアイトラッキング指数との関係を検討したというもの。結果、アイトラッキング手法は失語症の有無にかかわらず注意配分を評価するために有効と考えられたとのことです。 アイトラッキングとは視線移動の軌跡を可視化する手法のことをいいます。注意機能の評価には通常TMTとかストループテストなどを主に使いますが、どちらも文字や言語を使いますので、失語症者では失語でできないのか注意障害でできないのか、判別がうまくできないのが現状です。これはそれを解決しようとするもの。 デュアルタスクを行っているので確かに注意機能の評価になっています。アイトラッカー装置はウェアラブルなものも出て便利になっていますが、結構な値段ですし簡便とはいえないところが問題です。ここが解決しないと普及にはなかなか至らないでしょう。 【a016】「失語症者に対する項目間の意味的関連性を統制した聴覚的理解課題の成績ー状況関連性とカテゴリー関連性を用いてー」☆ 津田 哲也、吉畑 博代、平山 孝子、ほか 高次脳機能研究 33卷4号、2013、p414-420 35名の失語症者と10名健常者に、目標項目1、状況・カテゴリー関連項目1、状況またはカテゴリー関連項目1、無関連項目2、の5択からなる「音声単語と絵のマッチング課題」27 問を実施したというもの。結果、軽度失語群では状況関連性のあるエラーのみがみられ, 中等度失語群ではカテゴリー関連性だけのエラーも出現し, 重度失語群では状況・カテゴリーとも関連のないエラーが出現したとのこと。 失語症者の理解課題の成績には状況関連性も影響を及ぼすことが明らかとなったと著者らは結んでいます。 カテゴリー関連とは「犬」と「猫」というような似たもの、状況関連とは「犬」と「首輪」のように同じ状況におかれるものです。 せっかく状況関連性の影響を指摘しても、この課題で見られるエラーが意味照合の際の状況関連性エラーなのか、音韻認知の際の状況関連性エラーなのか、そこがはっきりしないと議論がぼやけてしまいます。音韻認知に障害のあるケースとないケースに分けて解析すればもっと議論が進むと思われます。 |
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2015 07,13 09:48 |
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【a013】 音韻論的単純化、音韻論的-音声学的過程の相互作用と発語失行 ☆
「Phonological simplifications, apraxia of speech and the interaction between phonological and phonetic processing 」 Claudia Galluzzi, Ivana Bureca, Cecilia Guariglia, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p64-83 【a014】 「純粋失読における改善経路の検討ー運動覚性記憶を用いた読みと心像性を手がかりとする読みについてー 」☆ 森岡 悦子、金井 孝典、高橋 秀典 高次脳機能研究 33卷 4号、2013、p395-404 |
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2015 06,22 09:21 |
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【a009】 ブローカ野の障害に起因するフレーム失語症:ペルシャ人症例の報告 ☆
「Frame aphasia due to Broca’s area impairment: a Persian case report」 Fariba Yadegari, Mohammadreza Razavi, Mojtaba Azimian Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p457-465 【a010】失語症に対する意味特徴分析によるトレーニングのコミュニケーションへの効果 ☆ ☆ 「Effects on communication from intensive treatment with semantic feature analysis in aphasia」 Joana Kristenssona, Ingrid Behrnsa, Charlotta Salderta Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p466-487 3例の慢性健忘失語症者に意味特徴分析を用いた集中的トレーニングを実施、効果をみたという報告。結果、呼称に変化はみられなかったものの、錯語の際の自己修正が増加し、会話のコミュニケーションスキルが3例中1例でわずかに増加、1例ではかなりの増加がみられたとのことです。著者らはこれにより日常会話を増加させる可能性が考えられるとしています。 意味特徴分析(semantic feature analysis:SFA)による失語症のトレーニングとは、Boyleや Wambaugh・Fergusonらによって90年代より提唱されてきた喚語訓練法で、SFAダイアグラムというターゲットの語から広がる意味的なネットワークの図式に沿って喚語を促していくという方法です。意味をヒントに使って喚語を促進する考え方ですが、意味ネットワークの活性化も図っているので意味プライミング効果で喚語しやすくなるという意味セラピー的な側面も併せ持っていると考えられます。ただ今回は慢性期症例であったので喚語を改善させるのはやはり難しかったようです。効果は自己修正の増加程度に留まっていますが、やらないよりはやった方がいいようではあります。 【a011】脳卒中後の失語症における動詞喚語のための観察ヒントの比較 ☆ ☆ 「The contrast between cueing and/or observation in therapy for verb retrieval in post-stroke aphasia」 Sonia Routhier, Nathalie Bier, Joël Macoir Journal of Communication Disorders. Vol 54, March-April 2015, p43-55 【a012】「失語症者における新造語の出現機序について」 ☆☆ 宮崎 泰広、種村 純、伊藤 絵里子 高次脳機能研究 Vol. 33 No.1, 2013, p20-27 新造語が目立つ失語症 10 例の呼称課題における反応を分析、初回評価時と発症1 ヵ月時で比較したという報告。結果、新造語減少・音韻性錯語3例、無関連性錯語増加3例、意味性錯語増加2例, 音韻性錯語・語性錯語増加が2例だったとのこと。新造語が減少し種々の錯語タイプに分かれることから新造語は音韻・意味・語彙・その他の複合的な障害により生じることが示唆されたと著者らは結んでいます。 新造語が音韻性錯語+語性錯語の結果生じたものではないかというのは古くからある説です。意味・音韻のどこが改善していくかによって経過が分かれていくのでしょう。ぜひもっと症例を集め、どの部位の損傷であるとどのパターンになりやすいか予測できるように進めていただければと思います。そうなれば意味のトレーニングに重点を置くべきか、音韻のトレーニングに重点を置くべきか選択できるようになるでしょう。 |
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2015 06,08 19:13 |
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【a006】復唱と音読障害を伴う伝道失語のマルチモダールマッピング研究 ☆☆
「A multimodal mapping study of conduction aphasia with impaired repetition and spared reading aloud」 Barbara Tomasino, Dario Marin, Marta Maieron Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p214-226 【a007】 経頭蓋直流刺激治療後の失読症成人における改善読解力の測定 ☆☆☆ 「Improved reading measures in adults with dyslexia following transcranial direct current stimulation treatment」 Inbahl Heth, Michal Lavidor Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p107-113 発達性難読症(ディスレクシア)の成人を経頭蓋直流刺激(tDCS)を実施した群と偽の刺激を行った群に分け、効果を調査した研究。刺激部位はMT/V5野で2週間5セッション実施した結果、経頭蓋直流刺激群は大幅に音読速度と流暢性に改善がみられたとのこと。この部位が読みに重要であり、少なくとも経頭蓋直流刺激で音読速度と流暢性を改善させられると著者らはしています。 tDCSは頭に1-2mA程度の弱い直流電流を5-30分程度通すことにより神経活動を賦活する治療法です。従来のrTMSと補完的に使用し、脳卒中やうつ病、片頭痛のような多様な病態の治療とリハ効果を高めるための方法として応用と研究が広まっています。これまで前頭前野を刺激して言語流暢性が改善したという報告はありましたが、読みの改善のために側頭頭頂部にあるMT/V5野を刺激したという報告はありませんでした。MT/V5野は視覚の連合野ですが、視覚言語の中枢といわれている角回がその周辺にあるので、その部位を選択したのでしょう。選択は適切であったといえそうです。トム・クルーズやスピルバーグをはじめとして難読症でお悩みの方はかなりいらっしゃいます。リハとの組み合わせ効果など続報が大変期待されます。 【a008】「数唱や無意味音列の復唱は可能であるが複数単語の復唱に困難を示した失語症例 ~言語性短期記憶についての一考察~」 ☆ 宮崎 泰広、藤代 裕子、今井 眞紀、ほか 高次脳機能研究 34卷1号、2014、p17-25 |
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2015 05,25 10:48 |
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【a003】失語症者との会話における具体化練習としての指差し☆
Pointing as an embodied practice in aphasic interaction Anu Klippi Aphasiology Vol.29, Issue 3, 2015, p337-354 【a004】会話に焦点を当てた失語症セラピー:文法障害に対する工夫の検討☆ Conversation focused aphasia therapy: investigating the adoption of strategies by people with agrammatism Suzanne Beeke, Firle Beckley, Fiona Johnson,ほか Aphasiology Vol.29, Issue 3, 2015, p355- 377 失語症者と会話パートナーによる会話セラピーの6ヶ月の経過を追った研究。評価のためのプレセラピー期、セラピー期、フォローアップのためのポストセラピー期の3期8週ごとに分けられています。結果、1例は会話の質・量ともに変化を示したが、1例は量的な変化のみを示し、両例とも会話パートナーの行動に障壁的な行動の減少がみられたとのことです。これらから会話セラピーは工夫による困難の低減というよりは、会話パートナーの障壁的な行動の減少と思われた、と著者らは結んでいます。 言語聴覚士が会話で改善を図ろうとするやり方は日本では随分下火になってしまいましたが、1970年代にはかなり中心的な方法でした。問題は話者の技量を要することで、それを広めることが難しく下火になっていったと思われます。今は会話パートナーを言語聴覚士が養成することで実用コミュニケーションをアップさせようというやり方に変化しています。会話パートナーが長く綿密に患者と付き合うことで会話パートナーの技量が向上しコミュニケーションが促進されるという仕組みになっています。この研究結果もそれを表しています。ただ会話パートナーによる会話セラピーを推すなら他のセラピーを行った比較対象が欲しいところです。 【a005】 左側頭頭頂葉皮質下出血により失語症を呈した慢性期症例に対する音韻符号化訓練ーSelf-generated cueとしての五十音表活用☆ 鈴木 恒輔 言語聴覚研究 12巻 1号、2015、p33-41 |
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