2024 11,23 17:41 |
|
2015 06,22 09:21 |
|
【a009】 ブローカ野の障害に起因するフレーム失語症:ペルシャ人症例の報告 ☆
「Frame aphasia due to Broca’s area impairment: a Persian case report」 Fariba Yadegari, Mohammadreza Razavi, Mojtaba Azimian Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p457-465 【a010】失語症に対する意味特徴分析によるトレーニングのコミュニケーションへの効果 ☆ ☆ 「Effects on communication from intensive treatment with semantic feature analysis in aphasia」 Joana Kristenssona, Ingrid Behrnsa, Charlotta Salderta Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p466-487 3例の慢性健忘失語症者に意味特徴分析を用いた集中的トレーニングを実施、効果をみたという報告。結果、呼称に変化はみられなかったものの、錯語の際の自己修正が増加し、会話のコミュニケーションスキルが3例中1例でわずかに増加、1例ではかなりの増加がみられたとのことです。著者らはこれにより日常会話を増加させる可能性が考えられるとしています。 意味特徴分析(semantic feature analysis:SFA)による失語症のトレーニングとは、Boyleや Wambaugh・Fergusonらによって90年代より提唱されてきた喚語訓練法で、SFAダイアグラムというターゲットの語から広がる意味的なネットワークの図式に沿って喚語を促していくという方法です。意味をヒントに使って喚語を促進する考え方ですが、意味ネットワークの活性化も図っているので意味プライミング効果で喚語しやすくなるという意味セラピー的な側面も併せ持っていると考えられます。ただ今回は慢性期症例であったので喚語を改善させるのはやはり難しかったようです。効果は自己修正の増加程度に留まっていますが、やらないよりはやった方がいいようではあります。 【a011】脳卒中後の失語症における動詞喚語のための観察ヒントの比較 ☆ ☆ 「The contrast between cueing and/or observation in therapy for verb retrieval in post-stroke aphasia」 Sonia Routhier, Nathalie Bier, Joël Macoir Journal of Communication Disorders. Vol 54, March-April 2015, p43-55 【a012】「失語症者における新造語の出現機序について」 ☆☆ 宮崎 泰広、種村 純、伊藤 絵里子 高次脳機能研究 Vol. 33 No.1, 2013, p20-27 新造語が目立つ失語症 10 例の呼称課題における反応を分析、初回評価時と発症1 ヵ月時で比較したという報告。結果、新造語減少・音韻性錯語3例、無関連性錯語増加3例、意味性錯語増加2例, 音韻性錯語・語性錯語増加が2例だったとのこと。新造語が減少し種々の錯語タイプに分かれることから新造語は音韻・意味・語彙・その他の複合的な障害により生じることが示唆されたと著者らは結んでいます。 新造語が音韻性錯語+語性錯語の結果生じたものではないかというのは古くからある説です。意味・音韻のどこが改善していくかによって経過が分かれていくのでしょう。ぜひもっと症例を集め、どの部位の損傷であるとどのパターンになりやすいか予測できるように進めていただければと思います。そうなれば意味のトレーニングに重点を置くべきか、音韻のトレーニングに重点を置くべきか選択できるようになるでしょう。 PR |
|
忍者ブログ [PR] |