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■認知症・高次脳文献レビュー
2016年4月4週・最終号 目次 01. 認知症・・・・・・【d028】 02. 失語症・・・・・・【a044】 03. 前頭葉機能ほか・・【f015】 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 認知症 ◆ Dementia 【d028】非流暢性失語症との比較における進行性意味性失語症の行動評価 ☆ 「Behavioral Evolution of Progressive Semantic Aphasia in Comparison with Nonfluent Aphasia」 Gómez-Tortosa E, Rigual R, Prieto-Jurczynska C. ほか Departments of Neurology and Epidemiology and Biostatistics, Fundación Jiménez Díaz, Spain Dement Geriatr Cogn Disord Vol. 41 No.1-2, 2016, p1-8 進行性意味性失語41名と非流暢性失語39名について、発症から1〜3年と5〜13年の行動面の症状を比較した研究。結果、進行性意味性失語の方が頻繁に錯乱がみられ抗精神薬の必要性が高く、妄想/幻覚と関連していたとのこと。一方非流暢性失語ではうつ症状が多く、抗うつ薬を要したそうです。グループごとに異なる治療とケアサポートが必要だろうと著者らは結んでいます。 これら認知症に伴って生じる精神行動症状は、適切な薬剤投与やケアによってある程度コントロールが可能です。 非流暢性失語では寡黙になり意思を表示しにくくなるので、ストレスが溜まりうつになりやすいかもしれません。 これらの症状が二次的なものなのかどうかはぜひ知りたいところです。 ◆02. 失語症 ◆ Aphasia 【a044】急性期病院における言語聴覚士はの失語症マネージメントの理解 ☆☆ 「“Communication is taking a back seat”: speech pathologists’ perceptions of aphasia management in acute hospital settings」 Abby Fosterac, Robyn O’Halloranbc, Miranda Rosebc & Linda Worrallac* School of Health and Rehabilitation Sciences, The University of Queensland, Brisbane, Australia Aphasiology Vol 30, Issue 5, 2016, p585-608 脳血管障害急性期担当の14名の言語聴覚士に半構造化インタビューを実施、彼らの経験や思考、マネージメントが失語症治療にどのような影響を与えるか調査した研究。 結果、(1) 急性期言語聴覚士の役割の理解が急性期失語症マネージメントに関連、 (2) プログラムの優先順位の検討がプロ意識に関連、 (3) 失語症に嚥下障害が合併した場合の嚥下障害治療の優先度を理解、(4) 言語聴覚士による失語症とそのマネージメントにおける強い信念、 (5) 急性期失語症マネージメントのファシリテーターを理解、との知見が得られたとのこと。 複雑で多様な要素が言語聴覚士の失語症マネージメントに影響しており、エビデンスに基づいた治療を可能にしていると考えられたとのことです。 珍しい言語聴覚士をテーマにした研究。言語聴覚士の能力や資質には人により随分と差があるのが事実です。 言語聴覚士の職能団体では資質向上を図るために講習会を実施したり、専門認定制度などを設けたりしていますが、どれほどの実効性があるかは不明です。 この論文のような研究はひとつの参考になるでしょう。形だけの講習ではなく、実際にマネージメントができるようになるシステムの構築が望まれます。 ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others 【f015】失行的手指模倣障害における意味の効果 ☆☆☆ 「Effect of meaning on apraxic finger imitation deficits」 Achilles G.R, FinkM.H, FischerA. ほか Cognitive Neuroscience, Institute of Neuroscience and Medicine, Research Centre, Germany. Neuropsychologia February Vol.82, 2016, p74-83 失行的な手指模倣障害における意味の影響を検討するために、まず健常者45名が10種の無意味手指ジェスチャーを有意味か無意味か判定。 結果、10種のうち3つを健常者の98%が有意味と判定。その上で左脳損傷255名、左脳損傷113名、失語症者208名にジェスチャー模倣課題を実施。 結果、全例で有意味な手指ジェスチャーの方が良好であり 、特に失語の重症度と関連があった、とのこと。 動作模倣の検出には無意味ジェスチャーが検出力が高いのではないかと著者らは結んでいます。 失行のテストに手指ジェスチャーは非常によく使われますが、そこに意味があると難易度が下がってしまうという研究。 有意味では意味を手掛かりにできるので当然と思われます。 問題は、無意味と思われているジェスチャーでも人によっては意味を見いだしてできてしまうことがある、ということです。 そしてジェスチャーは文化圏によって種類も意味も異なることを我々は忘れてはなりません。ジェスチャーとは意外に奥深い存在なのです。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── さて一年間に渡りお届けして参りましたこのメルマガですが、本号をもちまして終刊とさせていただきます。 もともと20年以上前から個人的に文献を読んではデータベースソフトに要約を入力をしていたものを、メルマガにしてみてはと思い立って始めてみたものです。 おかげさまをもちまして終刊前のこの数号でも新規購読登録をしていただける方が何人もいらっしゃって、ここで終わりにさせていただくのは心苦しいのですが、 個人的な事情などで多忙となり、継続が難しくなってしまいましたので、丸一年というタイミングもあり、終刊とさせていただきました。 サイトの方は残しておきますが、今後こちらをどうするかは全く未定です。 もし新たにメルマガを始めるなど、皆様のお目にとまる時がありましたら、その折にはよろしくお願い申し上げます。 ◎認知症・高次脳文献レビュー 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2016年4月4週・最終号(通巻23号) ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ PR |
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