2025 04,04 13:33 |
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2015 11,09 04:03 |
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【a028】 文とそれ以上へ:軽度失語症のシングルケースセラピーの報告 ☆
「To the sentence and beyond: a single case therapy report for mild aphasia」 Julie Hickin, Beejal Mehta and Lucy Dipper Aphasiology Vol 29 Issue 9, 2015, p1038-1061 左脳塞栓により軽度失語を呈した発症後2年の22歳女性に対し、機能障害ベース療法を週一回16セッション実施したという報告。 結果、症例はセッション終了後にシンデレラの物語叙述で複雑な文を産生することができるようになったとのこと。 機能障害ベース療法は複雑な文章生産や談話能力を向上させる可能性がある、と著者らは結んでいます。 機能障害ベース療法(Impairment-based therapies)とは、まず動詞を想起し、次いで文の構造を策定することに焦点を当てた治療法です。 我が国で行われている統語的アプローチと類似した方法といえるでしょう。 発症後2年で改善がみられたケースですが、この症例がこれまでどんな治療訓練を受けてきたか、そこの詳細が明らかにならないと、 本当に機能障害ベース療法が良かったのか、なぜ改善したのか、という話に繋がらないと思われます。もう少し情報が欲しいところです。 PR |
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2015 11,09 03:52 |
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【f015】意識障害患者に対する音楽による認知のブースト ☆☆
「Boosting Cognition With Music in Patients With Disorders of Consciousness」 Maïté Castro, Barbara Tillmann, Jacques Luauté, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair vol 29 no 8, 2015, p734-742 ファーストネームで呼びかけをして脳波上反応がみられない意識障害患者13名に対し、音楽が影響するかベッドサイド脳波記録を用いて調査した研究。 結果、連続音を聴かせた後よりも好みの音楽を聴かせた後の方がファーストネームでの呼びかけに事象関連電位で良い反応がみられたとのこと。 著者らは、意識障害を有する患者の認知に音楽が有益な効果をもたらすことを初めて証明した、と述べています。 f009でレビューした「Preserved Covert Cognition in Noncommunicative Patients With Severe Brain Injury?(重度脳損傷によるコミュニケーション不可能患者のコバート認知の保持 )」 の続編のような研究です。 重度意識障害患者でもファーストネームの呼びかけには脳波上反応がみられる場合があるという事実をベースに、音楽で反応を高めたというもの。 今後反応性を高められるかどうか、音楽の他の刺激で有効なものはないか、続報が待たれます。 |
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2015 10,26 11:04 |
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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版 2015年10月4週号
目次 01. 失語症・・・・・・レビュー3件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 失語症 ◆ Aphasia 【a025】発語失行と失語症を伴う5名のためのスピーチ音楽療法(SMTA)の有効性 ☆☆ 「The effectiveness of Speech-Music Therapy for Aphasia (SMTA) in five speakers with Apraxia of Speech and aphasia」 Joost Hurkmans, Roel Jonkers, Madeleen de Bruijn, ほか Aphasiology Vol 29, Issue 8, 2015, p939-964 5名の発語失行を伴う失語症者にスピーチ音楽療法(SMTA)を週2回24セッション実施したという報告。 結果、全員のディアドコで改善傾向がみられたが、うち4名はディアドコの構音にも、2名は単語の構音にも改善がみられた、とのこと。 そして5名中3名は比較対照の心理言語学的テストでは変化がなかったそうです。 スピーチ音楽療法は構音だけでなく日常生活でのコミュニケーションの改善にも重要と著者らは述べています。 スピーチ音楽療法(Speech-Music Therapy for Aphasia : SMTA)は発語失行の改善を目的に言語リハビリと音楽療法の原理をミックスして作られたものです。 こちらに動画がありますのでご参考にしてください。https://m.youtube.com/watch?v=QA0pNmG8Bfw 発語失行の改善法ではミュージック・イントネーション・セラピーが知られていますが、SMTAの原理はそれと大差ありません。 ただSMTAはリズムに乗せて行う部分が強調されており、その分容易な印象があります。方法はボイスセラピーのアクセント法っぽいですね。試してみるのも面白います。 【a026】地域失語症グループにおける消費者の視点:心理的幸福度の文献分析☆ 「Consumer perspectives on community aphasia groups: a narrative literature review in the context of psychological well-being」 Michelle C. Attard, Lucette Lanyon, Leanne Togher ほか Aphasiology Volume 29, Issue 8, 2015, p983-1019 地域失語症者グループに参加している失語症者とその家族の心理的幸福度を明らかにするために文献的分析を行ったという報告。 結果、地域失語症者グループは失語症者とその家族の心理的幸福に積極的に貢献しており、生活の目的、環境適応力、自律性、個人的成長、および自己受容と正の相関がみられたとのこと。 臨床家はグループの特性をよく考慮し、成果が出るよう指導・助言すべきと著者らは結んでいます。 次も同じ分野のレビューですのでまとめて次でコメントします。 【a027】 失語症・脳卒中・その他のグループ参加への利点の気づき:「私達はちょうど、これがクリスマスだと思いました」 ☆☆ 「“We just thought that this was Christmas”: perceived benefits of participating in aphasia, stroke, and other groups」 Annette Rotherham, Tami Howe and Gina Tillard Aphasiology Vol 29, Issue 8, 2015, p965-982 10名の失語症者と6名の家族に半構造化インタビューを実施、グループのメリットを調査した研究。 結果、グループに参加することには、心理社会的面、コミュニケーション面、情報面、社会参加面、その他など25項目のメリットが挙げられたが、 これらはグループのファシリテーターが言語聴覚士なのか、仲間なのか、ボランティアなのか、また脳卒中グループか一般人かによって変わったとのことでした。 著者らはグループが適切に進行されるような幅の広さが大切と結んでいます。 上もこれもグループのメリットを強調した報告ですが、ひとくくりにグループといっても構成員やファシリテーターによって雰囲気や進み方などがまるで違い、 全て同列に述べられるものかどうか疑問、というコメントは以前にもしたところです。 ファシリテーターの違いを指摘したこの報告は納得できるものですが、立場だけでなくどのような態度が関与するのかもう少し踏み込みたいところです。 上の報告に関連して言えば、地域ベースと混合で差があるかどうか比較データがあると説得力が増すでしょう。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号の中ではスピーチ音楽療法がやや注目されます。 コメントにも書いた通り自動性を利用したミュージック・イントネーション・セラピーとよく似たものではありますが、メロディだけでなくリズム発話になっていて、むしろアクセント法によく似ていると思われます。 意外にアクセント法をそのまま行うだけでも発語失行は改善に向かうかもしれません。他にリー・シルバーマン法の常套句練習の考え方なども使える可能性があります。 このあたりのボイスセラピーの手法の中には失語症のリハビリに使えそうなものはが幾つかありますので、積極的に試みてみると新しい展開があるかもしれません。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年10月4週号(通巻12号) 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2015年11月09日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク |
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2015 10,26 10:54 |
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【a025】発語失行と失語症を伴う5名のためのスピーチ音楽療法(SMTA)の有効性 ☆☆
「The effectiveness of Speech-Music Therapy for Aphasia (SMTA) in five speakers with Apraxia of Speech and aphasia」 Joost Hurkmans, Roel Jonkers, Madeleen de Bruijn, ほか Aphasiology Vol 29, Issue 8, 2015, p939-964 5名の発語失行を伴う失語症者にスピーチ音楽療法(SMTA)を週2回24セッション実施したという報告。 結果、全員のディアドコで改善傾向がみられたが、うち4名はディアドコの構音にも、2名は単語の構音にも改善がみられた、とのこと。 そして5名中3名は比較対照の心理言語学的テストでは変化がなかったそうです。スピーチ音楽療法は構音だけでなく日常生活でのコミュニケーションの改善にも重要と著者らは述べています。 スピーチ音楽療法(Speech-Music Therapy for Aphasia : SMTA)は発語失行の改善を目的に言語リハビリと音楽療法の原理をミックスして作られたものです。 こちらに動画がありますのでご参考にしてください。https://m.youtube.com/watch?v=QA0pNmG8Bfw 発語失行の改善法ではミュージック・イントネーション・セラピーが知られていますが、SMTAの原理はそれと大差ありません。 ただSMTAはリズムに乗せて行う部分が強調されており、その分容易な印象があります。方法はボイスセラピーのアクセント法っぽいですね。試してみるのも面白います。 【a026】地域失語症グループにおける消費者の視点:心理的幸福度の文献分析☆ 「Consumer perspectives on community aphasia groups: a narrative literature review in the context of psychological well-being」 Michelle C. Attard, Lucette Lanyon, Leanne Togher ほか Aphasiology Volume 29, Issue 8, 2015, p983-1019 地域失語症者グループに参加している失語症者とその家族の心理的幸福度を明らかにするために文献的分析を行ったという報告。 結果、地域失語症者グループは失語症者とその家族の心理的幸福に積極的に貢献しており、生活の目的、環境適応力、自律性、個人的成長、および自己受容と正の相関がみられたとのこと。 臨床家はグループの特性をよく考慮し、成果が出るよう指導・助言すべきと著者らは結んでいます。 次も同じ分野のレビューですのでまとめて次でコメントします。 【a027】 失語症・脳卒中・その他のグループ参加への利点の気づき:「私達はちょうど、これがクリスマスだと思いました」 ☆☆ 「 “We just thought that this was Christmas”: perceived benefits of participating in aphasia, stroke, and other groups」 Annette Rotherham, Tami Howe and Gina Tillard Aphasiology Vol 29, Issue 8, 2015, p965-982 10名の失語症者と6名の家族に半構造化インタビューを実施、グループのメリットを調査した研究。 結果、グループに参加することには、心理社会的面、コミュニケーション面、情報面、社会参加面、その他など25項目のメリットが挙げられたが、 これらはグループのファシリテーターが言語聴覚士なのか、仲間なのか、ボランティアなのか、また脳卒中グループか一般人かによって変わったとのことでした。 著者らはグループが適切に進行されるような幅の広さが大切と結んでいます。 上もこれもグループのメリットを強調した報告ですが、ひとくくりにグループといっても構成員やファシリテーターによって雰囲気や進み方などがまるで違い、 全て同列に述べられるものかどうか疑問、というコメントは以前にもしたところです。 ファシリテーターの違いを指摘したこの報告は納得できるものですが、立場だけでなくどのような態度が関与するのかもう少し踏み込みたいところです。 上の報告に関連して言えば、地域ベースと混合で差があるかどうか比較データがあると説得力が増すでしょう。 |
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2015 10,12 11:44 |
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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版
2015年10月2週号 目次 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 失語症・・・・・・レビュー1件 03. 前頭葉ほか・・・・レビュー1件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory 【am010】外傷性脳損傷患者における段階的ノイズ妨害刺激トレーニングによる聴覚的な選択的注意の改善 ☆ 「Impaired auditory selective attention ameliorated by cognitive training with graded exposure to noise in patients with traumatic brain injury 」 Neil M. DundonSuvi P. DockreeVanessa ほか Neuropsychologia Vol.75 August, 2015, p74-87 外傷性脳損傷患者に対し無関係なノイズとターゲットを同時に聴かせる段階的注意トレーニング(APT)を実施、事象関連電位により変化を測定したという研究。 結果、無関連ノイズトレーニングを行った群では事象関連電位の増加や他課題への転移がみられたのに対し、未トレーニングの群では変化が見られなかったとのことです。 attention process training(APT)は注意トレーニングの代表的なプログラムですが、視覚的注意課題の方が使いやすいので、ついそちらばかりになってしまいがちです。 著者らも述べていますが、ノイズの多い環境では気が散ってうまく判断や行動ができないというケースは意外に多いと考えられます。 このような聴覚系の注意トレーニングの必要性を再認識させてくれる報告です。 ◆02. 失語症 ◆ Aphasia 【a024】失語症への長期的対処:会話パートナープログラムはどこまで届くか? ☆ 「 Addressing the long-term impacts of aphasia: how far does the Conversation Partner Programme go? 」 Ruth Mc Menamin, Edel Tierney and Anne Mac Farlane ほか Aphasiology Vol 29 Issue 8, 2015, p889-913 12ヶ月間会話パートナープログラムを受けている失語症者5名から心理面・社会面の問題について実情を聴取したという報告。 その結果、失語症者としての生活経験から(1)就学前への逆戻り感、(2)疲労感、(3)刑務所のよう、(4)感情、(5) 言葉を話すことができない、(6)疎外感、(7)変化と適応、(8)家族、の8つのテーマが得られたとのこと。 そして家族外の人と接する会話パートナープログラムが「就学前への逆戻り」のようなコミュニケーションの負の感情や「言葉を話すことができない」という感覚を軽減することが明らかとなり、 社会的なプログラムが疎外感や刑務所のような感情を軽減することができると考えられた、と著者らは結んでいます。 会話パートナープログラムはコミュニケーションの不便さの解消やコミュニケーションスキルの向上などがその意義として挙げられますが、患者本人が抱くさまざまな心理・社会的問題の軽減に役立つことを示す報告です。 特にコミュニケーションというだけで言えば相手は家族でも良いことになりますが、家族外の人間とコミュニケーションとることの意義と効用を教えてくれています。 ◆03. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others 【f014】脳卒中後の代謝、脳、身体、および認知機能へのコミュニティ運動療法の効果 ☆ ☆ 「Effects of Community Exercise Therapy on Metabolic, Brain, Physical, and Cognitive Function Following Stroke 」 Sarah A. Moore, Kate Hallsworth, Djordje G. Jakovljevic ほか Neurorehabil Neural Repair Vol.29 August, 2015, p623-635 50歳以上で脳血管障害後6ヶ月の40名を19週・3回/週、コミュニティベースで運動をさせる群とストレッチのみ行うコントロール群に分け、グルコース制御と脳血流、心肺機能、血圧、脂質、身体組成、脳萎縮、脳代謝、認知機能を評価し比較したという研究。 結果、内側側頭葉の血流量が運動で増加し、また灰白質の萎縮・心肺機能・拡張期血圧・コレステロールおよび認知機能も運動で改善がみられた、とのことです。 脳血管障害後の患者の生活はどうしても家に閉じこもりがちになってしまうと考えられます。そこで運動をというわけですが、運動拠点をコミュニティに設定してあるところがミソと考えられます。 これにより家から出ることになるだけでなく、近隣住民との交流も含まれる可能性があるからです。 このほど多様な効果は単に運動のためというだけでなく総合的な刺激の可能性があるのではないでしょうか。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号では「脳卒中後の代謝、脳、身体、および認知機能へのコミュニティ運動療法の効果」が興味深い内容を含んでいました。 最近、運動が認知機能の促進に効果的という報告がラッシュのように次々となされていますが、率直に感想を述べると、結論はそれほど単純なのだろうか、という気がしています。 なぜなら運動にも色々なタイプのものがあり、単純な筋トレ的運動もあれば、周囲に合わせたり適切な運動コントロールが不可欠など注意や認知能力をかなり要する運動まであるからです。 さらにこの論文のように場所や環境による影響もあるでしょう。ゲーム的要素が強く楽しさが溢れ出てくる運動もあれば、単調で退屈な繰り返し運動もあると思います。 認知面・コミュニケーション面・心理面などひとくちに運動といっても多種多様な要素を含んでいるわけで、これらの要素を明確にせず単に運動が良いという結論には疑問を感じざるを得ません。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年10月2週号 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2015年10月26日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク |
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2015 10,12 11:34 |
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【am010】外傷性脳損傷患者における段階的ノイズ妨害刺激トレーニングによる聴覚的な選択的注意の改善 ☆
「Impaired auditory selective attention ameliorated by cognitive training with graded exposure to noise in patients with traumatic brain injury」 Neil M. DundonSuvi P. DockreeVanessa ほか Neuropsychologia Vol.75 August, 2015, p74-87 外傷性脳損傷患者に対し無関係なノイズとターゲットを同時に聴かせる段階的注意トレーニング(APT)を実施、事象関連電位により変化を測定したという研究。 結果、無関連ノイズトレーニングを行った群では事象関連電位の増加や他課題への転移がみられたのに対し、未トレーニングの群では変化が見られなかったとのことです。 attention process training(APT)は注意トレーニングの代表的なプログラムですが、視覚的注意課題の方が使いやすいので、ついそちらばかりになってしまいがちです。 著者らも述べていますが、ノイズの多い環境では気が散ってうまく判断や行動ができないというケースは意外に多いと考えられます。 このような聴覚系の注意トレーニングの必要性を再認識させてくれる報告です。 |
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2015 10,12 11:31 |
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【a024】失語症への長期的対処:会話パートナープログラムはどこまで届くか? ☆
「Addressing the long-term impacts of aphasia: how far does the Conversation Partner Programme go?」 Ruth Mc Menamin, Edel Tierney and Anne Mac Farlane ほか Aphasiology Vol 29 Issue 8, 2015, p889-913 12ヶ月間会話パートナープログラムを受けている失語症者5名から心理面・社会面の問題について実情を聴取したという報告。 その結果、失語症者としての生活経験から(1)就学前への逆戻り感、(2)疲労感、(3)刑務所のよう、(4)感情、(5) 言葉を話すことができない、(6)疎外感、(7)変化と適応、(8)家族、の8つのテーマが得られたとのこと。 そして家族外の人と接する会話パートナープログラムが「就学前への逆戻り」のようなコミュニケーションの負の感情や「言葉を話すことができない」という感覚を軽減することが明らかとなり、 社会的なプログラムが疎外感や刑務所のような感情を軽減することができると考えられた、と著者らは結んでいます。 会話パートナープログラムはコミュニケーションの不便さの解消やコミュニケーションスキルの向上などがその意義として挙げられますが、患者本人が抱くさまざまな心理・社会的問題の軽減に役立つことを示す報告です。 特にコミュニケーションというだけで言えば相手は家族でも良いことになりますが、家族外の人間とコミュニケーションとることの意義と効用を教えてくれています。 |
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2015 10,12 11:27 |
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【f014】脳卒中後の代謝、脳、身体、および認知機能へのコミュニティ運動療法の効果 ☆ ☆
「Effects of Community Exercise Therapy on Metabolic, Brain, Physical, and Cognitive Function Following Stroke」 Sarah A. Moore, Kate Hallsworth, Djordje G. Jakovljevic ほか Neurorehabil Neural Repair Vol.29 August, 2015, p623-635 50歳以上で脳血管障害後6ヶ月の40名を19週・3回/週、コミュニティベースで運動をさせる群とストレッチのみ行うコントロール群に分け、グルコース制御と脳血流、心肺機能、血圧、脂質、身体組成、脳萎縮、脳代謝、認知機能を評価し比較したという研究。 結果、内側側頭葉の血流量が運動で増加し、また灰白質の萎縮・心肺機能・拡張期血圧・コレステロールおよび認知機能も運動で改善がみられた、とのことです。 脳血管障害後の患者の生活はどうしても家に閉じこもりがちになってしまうと考えられます。そこで運動をというわけですが、運動拠点をコミュニティに設定してあるところがミソと考えられます。 これにより家から出ることになるだけでなく、近隣住民との交流も含まれる可能性があるからです。 このほど多様な効果は単に運動のためというだけでなく総合的な刺激の可能性があるのではないでしょうか。 |
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2015 09,28 13:17 |
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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版
【2015年9月4週号 目次】 01. 失語症・・・・・・レビュー2件 02. 前頭葉ほか・・・・レビュー1件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 失語症 ◆ Aphasia 【a022】失語症を背景とした選考に基づく健康関連QOL ☆ 「Preference-based health-related quality of life in the context of aphasia: a research synthesis」 David G. T. Whitehurst, Nicholas R. Latimer, Aura Kagan ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p763-780 8つの出版物・6研究から失語症者の健康関連QOL(HRQOL)の評価状況を調査した報告。 結果、幾つかではEQ-5Dが使われていたが、HRQOLの評価がなされていなかったり、一つでは画像に基づいたEQ-5Dバージョンが考案され用いられていたとのこと。 失語症でのHRQOL評価の妥当性や実証研究には不足があり、今後開発や大規模な検証が必要だろうと著者らは結んでいます。 HRQOLは様々な疾患の患者さんや健康な方のQOLを測定する質問紙です。 これにはSF-36、SF-12、SF-8など様々なバリエーションがありますが、EQ-5Dは「移動,身の回りの管理,普段の活動,痛み/不快感,不安/ふさぎ込み」の5項目からなるバージョンです。 今の状態と完全に健康な状態との比を計算することで効用値を算出します。日本版も出ていて世界中で広く用いられていますが、当然失語症は想定されていません。 失語用に改変バージョンを作っても信頼性に欠けてしまいます。失語症者に用いたいなら、可能かどうかは分かりませんが著者らの言うように何らかの抜本的な対策が必要です。 【a023】意味障害と動詞過去形の産生:不規則動詞の過去時制産生の近接と頻度 ☆ 「Semantic impairment and past tense verb production: neighbourhood and frequency modulation of irregular past tense production」 Lara Harris and Glyn Humphreys Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p799-825 後頭葉皮質萎縮および意味的障害を持つ一症例に動詞産生テストを実施、動詞過去形の産生で意味的に曖昧な場合に音韻的近接が手助けになるかどうかを調査したという研究。 結果、単語頻度や意味の手助けが低い場合に音韻的近接の効果は非常に強く働いたとのことです。 英語動詞の不規則な過去形の生産は意味との関連で単一機構モデルで説明可能と考えられる、と著者らは結んでいます。 英語では動詞が過去形になる場合にgo-wentのように全く変化してしまう不規則動詞がありますが、その中でもsleep–sleptのように音が似ているものがあります。 不規則動詞でも意味がしっかり想起できている場合や高頻度語では過去形想起に差はないが、意味が曖昧な場合・低頻度後の場合には似ているものが想起しやすかったということです。 日本語とは全く異なる体系ですので動詞の不規則変化といっても馴染みのないところですが、音韻類似効果そのものは日本語でもあり、語頭音ヒントもこれと似たようなものです。 意味と音韻の単一機構モデルも、そもそも同一機構で構築して問題ないものと思われますし、そのようなモデルもあります。特に新規性はみられないように思われますがどうでしょうか。 ◆02. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others 【f013】片麻痺の病態失認における危機意識とエラーベーストレーニング ☆ 「Error-based training and emergent awareness in anosognosia for hemiplegia」 V. Moro, M. Scandola, C. Bulgarelli, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 4, 2015, p593-616 4名の慢性期片麻痺病態失認患者に「エラーフル」または「エラー分析」のリハビリ訓練プログラムを実施したという報告です。 「エラー分析」とは特定の実行行動について戦略とエラーを分析し、その失敗の理由を議論するという方法です。結果、すべての患者で改善がみられたとのこと。 著者らは病態失認患者でも危機回避は可能、としています。 たいへん正攻法な取り組みで結果も良かったようですが、このような病態失認患者の問題はトレーニングするとその課題はクリアできるものの、他には全く広がらない、というところにあります。 トレーニング課題を増やしていってもその傾向は変わらず、そこに大きな壁があると言わざるを得ません。 この4例も特定の実行行動のトレーニングを行い、その結果が良かったということで、決して障害が軽減したわけではありません。 もっと根本からの改善を目指すならやはり注意・認知トレーニングも必要と考えられます。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号は特にこれといった目立つ論文はありませんでしたが、病態失認に関することでひとつ。 転倒など危険行動を防止することは非常に重要ですが、認知的な危険防止能力と行動的な危険防止能力は別物と考えられます。 病態失認の評価は認知的な課題でなされやすいのですが、実際の危険は行動的な能力に左右される面が大きいのではないでしょうか。 病態失認へのアプローチにこれといった決め手がないのが現状ですが、このあたりの研究がもう少し進めば新たな展開がありうると思われます。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年9月4週号 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2015年10月12日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク |
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2015 09,28 13:14 |
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【a022】失語症を背景とした選考に基づく健康関連QOL ☆
「Preference-based health-related quality of life in the context of aphasia: a research synthesis」 David G. T. Whitehurst, Nicholas R. Latimer, Aura Kagan ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p763-780 8つの出版物・6研究から失語症者の健康関連QOL(HRQOL)の評価状況を調査した報告。 結果、幾つかではEQ-5Dが使われていたが、HRQOLの評価がなされていなかったり、一つでは画像に基づいたEQ-5Dバージョンが考案され用いられていたとのこと。 失語症でのHRQOL評価の妥当性や実証研究には不足があり、今後開発や大規模な検証が必要だろうと著者らは結んでいます。 HRQOLは様々な疾患の患者さんや健康な方のQOLを測定する質問紙です。 これにはSF-36、SF-12、SF-8など様々なバリエーションがありますが、EQ-5Dは「移動,身の回りの管理,普段の活動,痛み/不快感,不安/ふさぎ込み」の5項目からなるバージョンです。 今の状態と完全に健康な状態との比を計算することで効用値を算出します。日本版も出ていて世界中で広く用いられていますが、当然失語症は想定されていません。 失語用に改変バージョンを作っても信頼性に欠けてしまいます。失語症者に用いたいなら、可能かどうかは分かりませんが著者らの言うように何らかの抜本的な対策が必要です。 【a023】意味障害と動詞過去形の産生:不規則動詞の過去時制産生の近接と頻度 ☆ 「Semantic impairment and past tense verb production: neighbourhood and frequency modulation of irregular past tense production」 Lara Harris and Glyn Humphreys Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p799-825 後頭葉皮質萎縮および意味的障害を持つ一症例に動詞産生テストを実施、動詞過去形の産生で意味的に曖昧な場合に音韻的近接が手助けになるかどうかを調査したという研究。 結果、単語頻度や意味の手助けが低い場合に音韻的近接の効果は非常に強く働いたとのことです。 英語動詞の不規則な過去形の生産は意味との関連で単一機構モデルで説明可能と考えられる、と著者らは結んでいます。 英語では動詞が過去形になる場合にgo-wentのように全く変化してしまう不規則動詞がありますが、その中でもsleep–sleptのように音が似ているものがあります。 不規則動詞でも意味がしっかり想起できている場合や高頻度語では過去形想起に差はないが、意味が曖昧な場合・低頻度後の場合には似ているものが想起しやすかったということです。 日本語とは全く異なる体系ですので動詞の不規則変化といっても馴染みのないところですが、音韻類似効果そのものは日本語でもあり、語頭音ヒントもこれと似たようなものです。 意味と音韻の単一機構モデルも、そもそも同一機構で構築して問題ないものと思われますし、そのようなモデルもあります。特に新規性はみられないように思われますがどうでしょうか。 |
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