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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版
2015年10月2週号 目次 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 失語症・・・・・・レビュー1件 03. 前頭葉ほか・・・・レビュー1件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory 【am010】外傷性脳損傷患者における段階的ノイズ妨害刺激トレーニングによる聴覚的な選択的注意の改善 ☆ 「Impaired auditory selective attention ameliorated by cognitive training with graded exposure to noise in patients with traumatic brain injury 」 Neil M. DundonSuvi P. DockreeVanessa ほか Neuropsychologia Vol.75 August, 2015, p74-87 外傷性脳損傷患者に対し無関係なノイズとターゲットを同時に聴かせる段階的注意トレーニング(APT)を実施、事象関連電位により変化を測定したという研究。 結果、無関連ノイズトレーニングを行った群では事象関連電位の増加や他課題への転移がみられたのに対し、未トレーニングの群では変化が見られなかったとのことです。 attention process training(APT)は注意トレーニングの代表的なプログラムですが、視覚的注意課題の方が使いやすいので、ついそちらばかりになってしまいがちです。 著者らも述べていますが、ノイズの多い環境では気が散ってうまく判断や行動ができないというケースは意外に多いと考えられます。 このような聴覚系の注意トレーニングの必要性を再認識させてくれる報告です。 ◆02. 失語症 ◆ Aphasia 【a024】失語症への長期的対処:会話パートナープログラムはどこまで届くか? ☆ 「 Addressing the long-term impacts of aphasia: how far does the Conversation Partner Programme go? 」 Ruth Mc Menamin, Edel Tierney and Anne Mac Farlane ほか Aphasiology Vol 29 Issue 8, 2015, p889-913 12ヶ月間会話パートナープログラムを受けている失語症者5名から心理面・社会面の問題について実情を聴取したという報告。 その結果、失語症者としての生活経験から(1)就学前への逆戻り感、(2)疲労感、(3)刑務所のよう、(4)感情、(5) 言葉を話すことができない、(6)疎外感、(7)変化と適応、(8)家族、の8つのテーマが得られたとのこと。 そして家族外の人と接する会話パートナープログラムが「就学前への逆戻り」のようなコミュニケーションの負の感情や「言葉を話すことができない」という感覚を軽減することが明らかとなり、 社会的なプログラムが疎外感や刑務所のような感情を軽減することができると考えられた、と著者らは結んでいます。 会話パートナープログラムはコミュニケーションの不便さの解消やコミュニケーションスキルの向上などがその意義として挙げられますが、患者本人が抱くさまざまな心理・社会的問題の軽減に役立つことを示す報告です。 特にコミュニケーションというだけで言えば相手は家族でも良いことになりますが、家族外の人間とコミュニケーションとることの意義と効用を教えてくれています。 ◆03. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others 【f014】脳卒中後の代謝、脳、身体、および認知機能へのコミュニティ運動療法の効果 ☆ ☆ 「Effects of Community Exercise Therapy on Metabolic, Brain, Physical, and Cognitive Function Following Stroke 」 Sarah A. Moore, Kate Hallsworth, Djordje G. Jakovljevic ほか Neurorehabil Neural Repair Vol.29 August, 2015, p623-635 50歳以上で脳血管障害後6ヶ月の40名を19週・3回/週、コミュニティベースで運動をさせる群とストレッチのみ行うコントロール群に分け、グルコース制御と脳血流、心肺機能、血圧、脂質、身体組成、脳萎縮、脳代謝、認知機能を評価し比較したという研究。 結果、内側側頭葉の血流量が運動で増加し、また灰白質の萎縮・心肺機能・拡張期血圧・コレステロールおよび認知機能も運動で改善がみられた、とのことです。 脳血管障害後の患者の生活はどうしても家に閉じこもりがちになってしまうと考えられます。そこで運動をというわけですが、運動拠点をコミュニティに設定してあるところがミソと考えられます。 これにより家から出ることになるだけでなく、近隣住民との交流も含まれる可能性があるからです。 このほど多様な効果は単に運動のためというだけでなく総合的な刺激の可能性があるのではないでしょうか。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号では「脳卒中後の代謝、脳、身体、および認知機能へのコミュニティ運動療法の効果」が興味深い内容を含んでいました。 最近、運動が認知機能の促進に効果的という報告がラッシュのように次々となされていますが、率直に感想を述べると、結論はそれほど単純なのだろうか、という気がしています。 なぜなら運動にも色々なタイプのものがあり、単純な筋トレ的運動もあれば、周囲に合わせたり適切な運動コントロールが不可欠など注意や認知能力をかなり要する運動まであるからです。 さらにこの論文のように場所や環境による影響もあるでしょう。ゲーム的要素が強く楽しさが溢れ出てくる運動もあれば、単調で退屈な繰り返し運動もあると思います。 認知面・コミュニケーション面・心理面などひとくちに運動といっても多種多様な要素を含んでいるわけで、これらの要素を明確にせず単に運動が良いという結論には疑問を感じざるを得ません。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年10月2週号 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2015年10月26日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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