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2015 12,28 09:06 |
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【am011】認知機能低下を示さないパーキンソン病患者の健忘様の再認/再生記憶障害の研究 ☆
「 Evidence of an amnesia-like cued-recall memory impairment in nondementing idiopathic Parkinson's disease」 Nicola M J, EdelstynChristopher M, JohnThomas A ほか Cortex Vol.71, 2015, p85-101 30名のパーキンソン病患者と22名の健常者に対し、誘導あり条件と誘導なし条件で再認/再生課題を実施、相関を調べた研究。 結果、再認/再生課題と抑うつ度、およびパーキンソン病患者の遂行機能と誘導なしの記憶再認課題にのみ相関がみられたとのこと。 これらからパーキンソン病患者の再認/再生課題の低下はおそらく不顕性うつ症状によるものであると考えられ、再認/再生課題における遂行機能障害の関与の可能性から、前頭前野の寄与がありうる、と著者らは結んでいます。 ちょっと分かりにくいのですが、記憶の再認/再生課題は方略を使うと有利であり、方略を使うためには遂行機能が必要という考え方に基づいている実験です。 パーキンソン病患者でうつ症状があると、遂行機能が低下し再認/再生課題が低くなる、という論理展開になっています。 あまりそのような印象はないのですが、認知低下がないのに健忘様の症状をみせるパーキンソン病患者がいる、とのことです。 ただパーキンソン病ではいずれ全般的に認知機能が低下してくるため、認知低下を示していなくとも注意を始めとする細かな認知機能のチェックは欠かせないでしょう。 PR |
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2015 10,12 11:34 |
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【am010】外傷性脳損傷患者における段階的ノイズ妨害刺激トレーニングによる聴覚的な選択的注意の改善 ☆
「Impaired auditory selective attention ameliorated by cognitive training with graded exposure to noise in patients with traumatic brain injury」 Neil M. DundonSuvi P. DockreeVanessa ほか Neuropsychologia Vol.75 August, 2015, p74-87 外傷性脳損傷患者に対し無関係なノイズとターゲットを同時に聴かせる段階的注意トレーニング(APT)を実施、事象関連電位により変化を測定したという研究。 結果、無関連ノイズトレーニングを行った群では事象関連電位の増加や他課題への転移がみられたのに対し、未トレーニングの群では変化が見られなかったとのことです。 attention process training(APT)は注意トレーニングの代表的なプログラムですが、視覚的注意課題の方が使いやすいので、ついそちらばかりになってしまいがちです。 著者らも述べていますが、ノイズの多い環境では気が散ってうまく判断や行動ができないというケースは意外に多いと考えられます。 このような聴覚系の注意トレーニングの必要性を再認識させてくれる報告です。 |
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2015 09,14 05:36 |
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【am009】Googleカレンダー:重度記憶障害者による単一実験デザインスタディ ☆ ☆
「Google Calendar: A single case experimental design study of a man with severe memory problemsm」 Victoria N. Baldwin and Theresa Powell Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 4, 2015, p617-636 重度記憶障害と遂行機能障害を伴う外傷性脳損傷の43歳男性に記憶補助として携帯電話のGoogleカレンダーの使用を試みたという報告。 6週間のベースライン期の後、6週間使用し、改善度合いを評価したところ、3ターゲットを使った記憶課題・主観的尺度ともに改善がみられたとのこと。 著者らはGoogleカレンダーの有効性を強調するとともに、症例が他の記憶補助手段にはとても消極的であったことから、個人のライフスタイルや信念に合う記憶補助手段の選択が重要としています。 これまでにも記憶補助手段として携帯電話のスケジュール機能を利用したという報告は複数ありましたが、今回はより具体的にGoogleカレンダーを用いたという報告です。 この種のものはどれが優れているかということよりも、どういうものに慣れていてその人が使いやすいか、ではないかと思います。 症例は43歳と若くIT機器にも馴染みがある世代と考えられ、それゆえGoogleカレンダーが用いやすかったのでしょう。 判に押したように従来機器を推奨することなく、世代に合わせた対応は確かに必要です。 ただ今後IT機器は全世代に普及していくと考えられますので、記憶補助手段はより高機能で利便性の高いものの導入が容易になっていくことでしょう。 |
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2015 07,27 06:57 |
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【am008】 中〜重度の記憶障害者におけるスマートフォンやPDA使用の長期維持 ☆
「Long-term maintenance of smartphone and PDA use in individuals with moderate to severe memory impairment」 Eva Svoboda, Brian Richards, Christie Yao, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p353-373 スマートフォンやPDAの使用トレーニングを行った中〜重度記憶障害10例の12〜19ヶ月後の使用状況の調査。19ヶ月後でも記憶障害の高い信頼性で効果は継続されていたとのことです。 |
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2015 07,13 09:51 |
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【am007】 脳卒中後の視空間無視と運動覚障害の関係 ☆
「Relationship Between Visuospatial Neglect and Kinesthetic Deficits After Stroke 」 Jennifer A. Semrau, Jeffery C. Wang, Troy M. Herter, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair Vol 29 May, 2015, p318-328 脳卒中後の158例について視空間無視と四肢の運動覚障害の関連をBIT行動性無視検査等を用いて調べた研究。結果、視空間無視がある例では100%運動覚障害がみられたが、無視がない例になると運動覚障害は59%で、運動覚障害は必ずしも視空間無視を裏付けないが、視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとのこと。著者らは運動覚障害の評価と治療の重要性を示唆しています。 この場合の運動覚の検出は健側で取らせた肢位を患側で模倣させる、という方法を採っています。これができない場合に運動覚障害と判定されていますが、これだと半側身体失認があっても同じようにできなくなると考えられます。また課題を閉眼で行っていないので視覚的な無視の影響や関節覚などの深部知覚も関連しうると考えられますので、それらを考慮するとこれだけでは必ずしも視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとは言い切れないと思われます。ここはさらなる詳細な検討が望まれます。とはいえ100%という数字は無視できません。私たちはつい視空間のみに注目してしまいがちですが、無視に伴う問題はそれだけではないということはしっかりと押さえておくべきでしょう。むしろ無視が視空間のみに起こることはまれと考える方が現実的かもしれません。 |
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2015 06,22 09:27 |
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【am006】健忘症における記憶の連合:知識による言語性短期記憶のサポート ☆
「Memory integration in amnesia: Prior knowledge supports verbal short-term memory」 Elizabeth Race, Daniela J. Palombo, Margaret Cadden, ほか Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p272-280 |
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2015 06,08 19:17 |
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【am004】日常生活における行動無視の解剖学的部位と心理測定の関係 ☆☆
「Anatomical and psychometric relationships of behavioral neglect in daily living」 Marc Rousseauxa, Etienne Allarta, Thérèse Bernatia, ほか Neuropsychologia Vol 70 April 2015, p64-70 45例の大脳右半球損傷患者の発症1ヶ月時の無視の状態と日常生活上の行動的困難を分析し、ボクセルベースのマッピングシステムで損傷部位を特定したという研究。結果、日常生活上の無視は上側頭回後部と上縦束を含む側頭頭頂皮質接合部病巣、身体近傍空間無視は上側頭回と下頭頂状回を中心に拡張した皮質病巣、個人内空間無視は体性感覚野と上側頭溝を中心とした病巣、病態失認は後下側頭回および上側頭回病巣で生じていたとのことで、著者らは日常生活上の無視と身体近傍空間無視の強い関連を示唆しています。 個人内空間無視とか身体近傍空間無視というのは、身体を中心とした空間を、1)身体そのものである個人内空間 (personal space)、2)身体表面から数cmから数十cmの範囲で身体を直接取り巻く身体近傍空間(peripersonal space)、3)それ以上に離れた身体外空間(extrapersonal space)の3つに区分し、その考え方に基づいて無視空間を分類したものです。ヒトの空間把握には身体からの距離により差があるのではないかという考え方に基づいています。個人内空間無視は半側身体失認という名称ですと半側空間無視とは別のものというイメージになってしまいますが、この考え方通り連続的なものと捉えた方が合理的でしょう。日常生活上の無視が半側身体失認や病態失認とあまり関連がないというのは特に新しい知見ではありませんが、これらの新しい捉え方が新展開を生む可能性は充分あり今後が期待されます。 【am005】「『電子機器機能の重複現象』の発現機序についてー新たな妄想性誤認症候群の一徴候ー」☆ 高倉 祐樹、大槻 美佳、中川 賀嗣、ほか 神経心理学 31卷1号、2015、p56-69 |
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2015 05,25 10:53 |
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【am003】 半側空間無視症状の客観的把握のための評価ツールの開発☆☆☆
河島 則天、鴨志田 敦史、中川 雅樹、ほか 総合リハ 43巻 3号、2015、p251–257 半側空間無視の評価ツールとして色や点滅によって無視空間への注意を促しタッチパネルで操作できるアプリを試作、右半球病変脳卒中患者8名に試用したという研究。結果、色・点滅・順序性によって見落とし数,所要時間が変化した、とのこと。著者らは反応時間の空間分布特性を評価することで,無視症状の客観的把握と軽微な無視症状検出が可能と結んでいます。 順序や刺激密度によって見落としの程度が変わることはこれまでにも知られていましたが、色や点滅というのは刺激として新しいと思います。タッチ式のアプリというのも利便性やデータ収集・解析を考えると非常に発展性があります。欲を言えば現実場面では人や車などの動的な対象への注意が安全面からも欠かせませんが、おそらく動的なものと静的なものでは無視の度合いも異なるでしょうから、ぜひこれに動的な対象も加えて欲しいものです。静的な対象との比較データがあると興味深いですね。まだデータ数が圧倒的に少ないようですが、多量のデータを集め完成度を高めていただければ、評価ツールとしてだけでなく、自主トレーニング機器としてなど今後大きな展開が期待できると思います。 |
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2015 05,11 13:03 |
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【am001】「表象障害による左半側空間無視を呈した脳梗塞の1例 症例報告」☆
高岩 亜輝子、恒藤 澄子、安部 博史、ほか BRAIN and NERVEー神経研究の進歩 67巻 3号、2015、p323–327 【am002】 展望記憶課題の誤りなし学習:記憶障害患者への実験的研究☆☆ 「Errorless learning of prospective memory: An experimental investigation in people with memory disorders」 Jessica E. Fish, Tom Manly, Michael D. Kopelman, ほか Neuropsychological Rehabilitation, Vol 25 Issue 2, 2015, p159-188 |
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2015 04,11 22:49 |
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【am000-1】ワーキングメモリー訓練と意味構成は過去の出来事より未来の出来事の記憶を促進する
「Working Memory Training and Semantic Structuring Improves Remembering Future Events, Not Past Events」 Kim Merle Richter, Claudia Mödden, Paul Eling, ほか Neurorehabil Neural Repair Vol 29 January, 2015, p33-40 http://nnr.sagepub.com/content/29/1/33.abstract 36例の記憶障害を持つ脳損傷者を9時間づつ、ワーキングメモリー課題・意味構成課題・語の列挙課題を行う群と、通常の記憶トレーニングを行う群に分け比較。結果、ワーキングメモリー課題と語の列挙課題の成績に大きく向上がみられ、展望記憶にも改善がみられたという報告。ただしエピソード記憶には変化はなかったそうです。 意味構成課題と語の列挙課題が記憶障害の改善に効果的、という先行研究を受けての研究で、これはそれを発展させたもの。意味構成課題は絵のカテゴリー分けなどをさせる課題は通常は脳機能全般を活性化させるのに使います。語の列挙は動物などをたくさん思い出させる課題で主に前頭葉機能障害の課題として使われるもの。著者らはこれらとワーキングメモリー課題の組み合わせが展望記憶のリハビリとして有用な可能性がある、と結論づけていますが、ワーキングメモリーは記憶の一時貯蔵庫のこと、展望記憶はこれからの予定の記憶ですから、ワーキングメモリーだけに問題があるケースなら展望記憶と関連しそうですからこの結果はうなづけますが、記銘力に問題があるとか、長期記憶に問題があるケースでも効果があるかは疑問です。語の列挙などを使っていることから、今回の結果が脳機能全般の改善を促したにすぎない可能性もあります。とはいえ、記憶障害の改善は一般に難しいことが多く、脳機能全般の改善に伴う記憶の改善か記銘力の改善以外にはなかなか有効なアプローチがないのが現状ですから、手がかりになりそうなこのような研究報告は貴重です。 |
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