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2015 04,11 22:49 |
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【am000-1】ワーキングメモリー訓練と意味構成は過去の出来事より未来の出来事の記憶を促進する
「Working Memory Training and Semantic Structuring Improves Remembering Future Events, Not Past Events」 Kim Merle Richter, Claudia Mödden, Paul Eling, ほか Neurorehabil Neural Repair Vol 29 January, 2015, p33-40 http://nnr.sagepub.com/content/29/1/33.abstract 36例の記憶障害を持つ脳損傷者を9時間づつ、ワーキングメモリー課題・意味構成課題・語の列挙課題を行う群と、通常の記憶トレーニングを行う群に分け比較。結果、ワーキングメモリー課題と語の列挙課題の成績に大きく向上がみられ、展望記憶にも改善がみられたという報告。ただしエピソード記憶には変化はなかったそうです。 意味構成課題と語の列挙課題が記憶障害の改善に効果的、という先行研究を受けての研究で、これはそれを発展させたもの。意味構成課題は絵のカテゴリー分けなどをさせる課題は通常は脳機能全般を活性化させるのに使います。語の列挙は動物などをたくさん思い出させる課題で主に前頭葉機能障害の課題として使われるもの。著者らはこれらとワーキングメモリー課題の組み合わせが展望記憶のリハビリとして有用な可能性がある、と結論づけていますが、ワーキングメモリーは記憶の一時貯蔵庫のこと、展望記憶はこれからの予定の記憶ですから、ワーキングメモリーだけに問題があるケースなら展望記憶と関連しそうですからこの結果はうなづけますが、記銘力に問題があるとか、長期記憶に問題があるケースでも効果があるかは疑問です。語の列挙などを使っていることから、今回の結果が脳機能全般の改善を促したにすぎない可能性もあります。とはいえ、記憶障害の改善は一般に難しいことが多く、脳機能全般の改善に伴う記憶の改善か記銘力の改善以外にはなかなか有効なアプローチがないのが現状ですから、手がかりになりそうなこのような研究報告は貴重です。 PR |
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