2025 04,05 18:09 |
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2015 07,13 09:46 |
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【f007】「道具把握のみに障害を呈した道具使用失行の1例 症例報告 」 ☆
早川 裕子、藤井 俊勝、山鳥 重、ほか BRAIN and NERVEー神経研究の進歩 67巻 3号、2015、p311-316 【f008】 病態失認のもうひとつの観点:ビデオ再生での自己観察による運動意識の向上 ☆ 「Another perspective on anosognosia: Self-observation in video replay improves motor awareness 」 Sahba Besharati, Michael Kopelman, enato Avesani, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p319-352 病態失認の2例に対し、急性期の1例はビデオを用いて上下肢麻痺の運動の自己観察を複数回実施、慢性期のもう1例はビデオを用いて自己および他者の上下肢麻痺の運動観察を1回のみ行ない自己観察による運動意識の向上を図ったという報告。結果、両例とも即時に劇的な効果がみられたが、一般化はされなかったとのことでした。著者らはビデオによる自己観察を、暫定的にリハビリテーションプログラムに含めることを推奨しています。 今回の研究はとにかく自己フィードバックを効かせて病識を出させようという試み。回数や刺激内容を工夫したものの根治には至らなかったようでした。病態失認はメタ認知、つまり客観的自己視という難しい概念が絡むため謎の多い症候ですが、脳機能全般に低下がないと出ないことは確かな症状であり、注意障害も必発です。結局、注意障害はなんらかの形で病態失認に絡んでおり、注意機能のアップ、引いては脳機能全般のアップがないと病態失認の改善は得られないか、得られても一時的なものに留まるという解釈が今回の研究の結果からも妥当のように思われます。単に事実を分かりやすく伝えればいいということではないことが分かる研究です。 PR |
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2015 07,13 09:32 |
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【ht004】 外傷性脳損傷後の拡張自己記憶システムの損傷 ☆
「Disruption of temporally extended self-memory system following traumatic brain injury 」 Cécile Coste, Béatrice Navarro, Claire Vallat-Azouvi, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p133-145 |
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2015 06,22 11:05 |
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認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年6月4週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年6月4週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・タイトル1件 02. 認知症・・・・・・タイトル3件 03. 失語症・・・・・・レビュー2件、タイトル1件 04. 頭部外傷・・・・・レビュー1件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am006】健忘症における記憶の連合:知識による言語性短期記憶のサポート ☆ 「Memory integration in amnesia: Prior knowledge supports verbal short-term memory」 Elizabeth Race, Daniela J. Palombo, Margaret Cadden, ほか Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p272-280 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d010】前頭側頭型認知症における抑うつ症状の有病率 ☆ 「The Prevalence of Depressive Symptoms in Frontotemporal Dementia: A Meta-Analysis」 Chakrabarty T, Sepehry AA, Jacova C, ほか Dement Geriatr Cogn Disord Vol.39, No.5-6, 2015, p257-271 【d011】「前頭側頭型認知症(Frontotemporal degeneration:FTD)の構成課題における障害の検討」 ☆ 小林 知世、剣持 龍介、佐藤 卓也 ほか 神経心理学 31卷1号、2015、p47-55 【d012】「アルツハイマー病患者の単語再生課題における有関連および無関連虚再生の検討:Frontal Assessment Battery(FAB)の成績との関係」 ☆ 松川 悠、内山 千里、佐藤 卓也 ほか 神経心理学 30卷3号、2014、p224-232 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a009】 ブローカ野の障害に起因するフレーム失語症:ペルシャ人症例の報告 ☆ 「Frame aphasia due to Broca’s area impairment: a Persian case report」 Fariba Yadegari, Mohammadreza Razavi, Mojtaba Azimian Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p457-465 【a010】失語症に対する意味特徴分析によるトレーニングのコミュニケーションへの効果 ☆ ☆ 「Effects on communication from intensive treatment with semantic feature analysis in aphasia」 Joana Kristenssona, Ingrid Behrnsa, Charlotta Salderta Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p466-487 3例の慢性健忘失語症者に意味特徴分析を用いた集中的トレーニングを実施、効果をみたという報告。結果、呼称に変化はみられなかったものの、錯語の際の自己修正が増加し、会話のコミュニケーションスキルが3例中1例でわずかに増加、1例ではかなりの増加がみられたとのことです。著者らはこれにより日常会話を増加させる可能性が考えられるとしています。 意味特徴分析(semantic feature analysis:SFA)による失語症のトレーニングとは、Boyleや Wambaugh・Fergusonらによって90年代より提唱されてきた喚語訓練法で、SFAダイアグラムというターゲットの語から広がる意味的なネットワークの図式に沿って喚語を促していくという方法です。意味をヒントに使って喚語を促進する考え方ですが、意味ネットワークの活性化も図っているので意味プライミング効果で喚語しやすくなるという意味セラピー的な側面も併せ持っていると考えられます。ただ今回は慢性期症例であったので喚語を改善させるのはやはり難しかったようです。効果は自己修正の増加程度に留まっていますが、やらないよりはやった方がいいようではあります。 【a011】脳卒中後の失語症における動詞喚語のための観察ヒントの比較 ☆ ☆ 「The contrast between cueing and/or observation in therapy for verb retrieval in post-stroke aphasia」 Sonia Routhier, Nathalie Bier, Joël Macoir Journal of Communication Disorders. Vol 54, March-April 2015, p43-55 【a012】「失語症者における新造語の出現機序について」 ☆☆ 宮崎 泰広、種村 純、伊藤 絵里子 高次脳機能研究 Vol. 33 No.1, 2013, p20-27 新造語が目立つ失語症 10 例の呼称課題における反応を分析、初回評価時と発症1 ヵ月時で比較したという報告。結果、新造語減少・音韻性錯語3例、無関連性錯語増加3例、意味性錯語増加2例, 音韻性錯語・語性錯語増加が2例だったとのこと。新造語が減少し種々の錯語タイプに分かれることから新造語は音韻・意味・語彙・その他の複合的な障害により生じることが示唆されたと著者らは結んでいます。 新造語が音韻性錯語+語性錯語の結果生じたものではないかというのは古くからある説です。意味・音韻のどこが改善していくかによって経過が分かれていくのでしょう。ぜひもっと症例を集め、どの部位の損傷であるとどのパターンになりやすいか予測できるように進めていただければと思います。そうなれば意味のトレーニングに重点を置くべきか、音韻のトレーニングに重点を置くべきか選択できるようになるでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 頭部外傷 ◆ Head trauma ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ht003】全国コホートによる重症外傷性脳損傷の神経心理学的機能:人口統計学と急性期関連の予測因子 ☆ 「Neuropsychological Functioning in a National Cohort of Severe Traumatic Brain Injury: Demographic and Acute Injury–Related Predictors」 Sigurdardottir Solrun, Andelic Nada, Wehling Eike, ほか Journal of Head Trauma Rehabilitation Vol 30 Issue 2, 2015, pE1-E12 105例の重度外傷性脳損傷者の1年間の遂行機能・記憶・処理速度などの認知機能の経過を調査した報告。結果、67%に何らかの認知障害があり、遂行機能障害は41%、記憶障害は58%, 処理速度低下は57%にみられたとのことです。さらにその中の記憶障害の持続期間が認知機能の程度と相関していたとのことです。 脳梗塞などと異なり、頭部外傷はMRI等でみられる損傷部位以外だけでなく脳全般に機能低下が起こることが少なくありません。その分、症状や経過が複雑ですので他と区別されこのように独立した分類になっています。今回、全例が重度の脳外傷であったにも関わらず1年後認知障害が残存したのが2/3であったのは意外に経過が良いケースがあるという印象です。記憶障害の持続期間が認知機能の程度と相関したとのことですが、やはり頭部外傷の影響が脳全般に及んでいたということでしょう。逆にいえば頭部外傷では記憶障害は改善しやすいが、遂行機能障害や処理速度は改善しにくいということになります。 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 今号ではこれはという先進的かつ有用な論文は残念ながらありませんでしたが、「失語症者における新造語の出現機序について」がレビューにも書いたように今後が期待できる論文でした。リハビリは一日にできる量には制度的にも物理的にも制限がありますので、限られた時間の中で最大効果を発揮できるようなプログラムが必要ですが、まずどの障害要素を改善させると今後に繋がるのかといったことがデータから予測できるようになると、リハビリの確実性はぐんと上がるでしょう。錯語軽減プログラムの確立へ進めていける論文であると思われます。 他に「失語症に対する意味特徴分析によるトレーニングのコミュニケーションへの効果」は結果は今ひとつでしたが、日本ではほとんど知られていない意味特徴分析(semantic feature analysis :SFA)によるトレーニングについて書かれた論文ですので、一読の価値はあると思います。方法としては意味セラピーに類するもので、ここしばらくのトレンドに乗ったものですから一度は用いてみても良いのではないでしょうか。 なお掲載レビューの全てをご覧いただけるメルマガfullsize版は、通常月額540円のところ、現在、創刊記念特別価格 月額270円でご提供させていただいております。ぜひこの機会にご登録いただければと存じます。 なおレビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎次号 発行予定日 2015年7月13日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com ◎fullsize版では掲載レビューの全てをご覧いただけます。 通常月額540円のところ特別価格月額270円。 申し込み月無料。 キャンセルも簡単にできます。 ◎月単位でバックナンバーもご購入いただけます。 バックナンバー掲載レビューのリストはこちら → http://brainmailnews.asukablog.net/ バックナンバーご購入はこちら → http://www.mag2.com/m/0001654905.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク |
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2015 06,22 09:27 |
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【am006】健忘症における記憶の連合:知識による言語性短期記憶のサポート ☆
「Memory integration in amnesia: Prior knowledge supports verbal short-term memory」 Elizabeth Race, Daniela J. Palombo, Margaret Cadden, ほか Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p272-280 |
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2015 06,22 09:25 |
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【d010】前頭側頭型認知症における抑うつ症状の有病率 ☆
「The Prevalence of Depressive Symptoms in Frontotemporal Dementia: A Meta-Analysis」 Chakrabarty T, Sepehry AA, Jacova C, ほか Dement Geriatr Cogn Disord Vol.39, No.5-6, 2015, p257-271 【d011】「前頭側頭型認知症(Frontotemporal degeneration:FTD)の構成課題における障害の検討」 ☆ 小林 知世、剣持 龍介、佐藤 卓也 ほか 神経心理学 31卷1号、2015、p47-55 【d012】「アルツハイマー病患者の単語再生課題における有関連および無関連虚再生の検討:Frontal Assessment Battery(FAB)の成績との関係」 ☆ 松川 悠、内山 千里、佐藤 卓也 ほか 神経心理学 30卷3号、2014、p224-232 |
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2015 06,22 09:21 |
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【a009】 ブローカ野の障害に起因するフレーム失語症:ペルシャ人症例の報告 ☆
「Frame aphasia due to Broca’s area impairment: a Persian case report」 Fariba Yadegari, Mohammadreza Razavi, Mojtaba Azimian Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p457-465 【a010】失語症に対する意味特徴分析によるトレーニングのコミュニケーションへの効果 ☆ ☆ 「Effects on communication from intensive treatment with semantic feature analysis in aphasia」 Joana Kristenssona, Ingrid Behrnsa, Charlotta Salderta Aphasiology. Vol 29, Issue 4, 2015, p466-487 3例の慢性健忘失語症者に意味特徴分析を用いた集中的トレーニングを実施、効果をみたという報告。結果、呼称に変化はみられなかったものの、錯語の際の自己修正が増加し、会話のコミュニケーションスキルが3例中1例でわずかに増加、1例ではかなりの増加がみられたとのことです。著者らはこれにより日常会話を増加させる可能性が考えられるとしています。 意味特徴分析(semantic feature analysis:SFA)による失語症のトレーニングとは、Boyleや Wambaugh・Fergusonらによって90年代より提唱されてきた喚語訓練法で、SFAダイアグラムというターゲットの語から広がる意味的なネットワークの図式に沿って喚語を促していくという方法です。意味をヒントに使って喚語を促進する考え方ですが、意味ネットワークの活性化も図っているので意味プライミング効果で喚語しやすくなるという意味セラピー的な側面も併せ持っていると考えられます。ただ今回は慢性期症例であったので喚語を改善させるのはやはり難しかったようです。効果は自己修正の増加程度に留まっていますが、やらないよりはやった方がいいようではあります。 【a011】脳卒中後の失語症における動詞喚語のための観察ヒントの比較 ☆ ☆ 「The contrast between cueing and/or observation in therapy for verb retrieval in post-stroke aphasia」 Sonia Routhier, Nathalie Bier, Joël Macoir Journal of Communication Disorders. Vol 54, March-April 2015, p43-55 【a012】「失語症者における新造語の出現機序について」 ☆☆ 宮崎 泰広、種村 純、伊藤 絵里子 高次脳機能研究 Vol. 33 No.1, 2013, p20-27 新造語が目立つ失語症 10 例の呼称課題における反応を分析、初回評価時と発症1 ヵ月時で比較したという報告。結果、新造語減少・音韻性錯語3例、無関連性錯語増加3例、意味性錯語増加2例, 音韻性錯語・語性錯語増加が2例だったとのこと。新造語が減少し種々の錯語タイプに分かれることから新造語は音韻・意味・語彙・その他の複合的な障害により生じることが示唆されたと著者らは結んでいます。 新造語が音韻性錯語+語性錯語の結果生じたものではないかというのは古くからある説です。意味・音韻のどこが改善していくかによって経過が分かれていくのでしょう。ぜひもっと症例を集め、どの部位の損傷であるとどのパターンになりやすいか予測できるように進めていただければと思います。そうなれば意味のトレーニングに重点を置くべきか、音韻のトレーニングに重点を置くべきか選択できるようになるでしょう。 |
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2015 06,22 09:18 |
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【ht003】全国コホートによる重症外傷性脳損傷の神経心理学的機能:人口統計学と急性期関連の予測因子 ☆
「Neuropsychological Functioning in a National Cohort of Severe Traumatic Brain Injury: Demographic and Acute Injury–Related Predictors」 Sigurdardottir Solrun, Andelic Nada, Wehling Eike, ほか Journal of Head Trauma Rehabilitation Vol 30 Issue 2, 2015, pE1-E12 105例の重度外傷性脳損傷者の1年間の遂行機能・記憶・処理速度などの認知機能の経過を調査した報告。結果、67%に何らかの認知障害があり、遂行機能障害は41%、記憶障害は58%, 処理速度低下は57%にみられたとのことです。さらにその中の記憶障害の持続期間が認知機能の程度と相関していたとのことです。 脳梗塞などと異なり、頭部外傷はMRI等でみられる損傷部位以外だけでなく脳全般に機能低下が起こることが少なくありません。その分、症状や経過が複雑ですので他と区別されこのように独立した分類になっています。今回、全例が重度の脳外傷であったにも関わらず1年後認知障害が残存したのが2/3であったのは意外に経過が良いケースがあるという印象です。記憶障害の持続期間が認知機能の程度と相関したとのことですが、やはり頭部外傷の影響が脳全般に及んでいたということでしょう。逆にいえば頭部外傷では記憶障害は改善しやすいが、遂行機能障害や処理速度は改善しにくいということになります。 |
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2015 06,08 21:08 |
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認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年6月2週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年6月2週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件、タイトル1件 02. 認知症・・・・・・レビュー1件、タイトル2件 03. 失語症・・・・・・レビュー1件、タイトル2件 04. 前頭葉機能ほか・・タイトル1件 05. 頭部外傷・・・・・タイトル1件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※注目度を☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am004】日常生活における行動無視の解剖学的部位と心理測定の関係 ☆☆ 「Anatomical and psychometric relationships of behavioral neglect in daily living」 Marc Rousseauxa, Etienne Allarta, Thérèse Bernatia, ほか Neuropsychologia Vol 70 April 2015, p64-70 45例の大脳右半球損傷患者の発症1ヶ月時の無視の状態と日常生活上の行動的困難を分析し、ボクセルベースのマッピングシステムで損傷部位を特定したという研究。結果、日常生活上の無視は上側頭回後部と上縦束を含む側頭頭頂皮質接合部病巣、身体近傍空間無視は上側頭回と下頭頂状回を中心に拡張した皮質病巣、個人内空間無視は体性感覚野と上側頭溝を中心とした病巣、病態失認は後下側頭回および上側頭回病巣で生じていたとのことで、著者らは日常生活上の無視と身体近傍空間無視の強い関連を示唆しています。 個人内空間無視とか身体近傍空間無視というのは、身体を中心とした空間を、1)身体そのものである個人内空間 (personal space)、2)身体表面から数cmから数十cmの範囲で身体を直接取り巻く身体近傍空間(peripersonal space)、3)それ以上に離れた身体外空間(extrapersonal space)の3つに区分し、その考え方に基づいて無視空間を分類したものです。ヒトの空間把握には身体からの距離により差があるのではないかという考え方に基づいています。個人内空間無視は半側身体失認という名称ですと半側空間無視とは別のものというイメージになってしまいますが、この考え方通り連続的なものと捉えた方が合理的でしょう。日常生活上の無視が半側身体失認や病態失認とあまり関連がないというのは特に新しい知見ではありませんが、これらの新しい捉え方が新展開を生む可能性は充分あり今後が期待されます。 【am005】「『電子機器機能の重複現象』の発現機序についてー新たな妄想性誤認症候群の一徴候ー」☆ 高倉 祐樹、大槻 美佳、中川 賀嗣、ほか 神経心理学 31卷1号、2015、p56-69 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d007】パーキンソン病における軽度認知障害と基準データの差異によるマチス認知症評価スケールの臨床的妥当性 ☆ 「Clinical Validity of the Mattis Dementia Rating Scale in Differentiating Mild Cognitive Impairment in Parkinson's Disease and Normative Data」 Bezdicek O, Michalec J, Nikolai T, ほか Dementia and Geriatric cognitive disorder Vol 39, No.5-6, 2015, p303-311 【d008】 高齢者の前頭側頭型認知症の普及における診断基準の効果 ☆ 「Effect of diagnostic criteria on prevalence of frontotemporal dementia in the elderly」 Thorsteinn B. Gislason, Svante Östling, Anne Börjesson-Hanson ほか Alzheimer's and Dementia Vol 11 Issue 4, 2015, p425-433 【d009】「多様な課題が含まれる「宿題帳」を継続することで農村地域住民の語の流暢性が向上した ─ 自治体主催の介護予防事業の有用性と評価法の検討」☆ 伊関 千書、ほか 日本認知症学会誌 27卷1号、2013、p62-69 40歳以上の農村地域住民26名に計9回の講義・軽体操・レクレーション・座談会等と、民話や童話の音読・簡単な計算・日記・ぬり絵や簡単な図画作成課題などの宿題帳(対象26名中16名)を介護予防事業として実施、認知機能低下やうつ気分を予防しうるか検討した調査の報告。介護予防事業に不参加の66名にも遂行機能障害やうつ気分を評価する自記式質問票を実施しています。結果、7か月間で参加者・不参加者とも遂行機能障害やうつ気分に変化はみられなかったそうですが、宿題帳を行った群では語の流暢性課題のカテゴリー課題にアップがみられたとのことでした。 著者らも述べていますが、40歳以上という年齢設定はどうみても適切ではなかったと思います。これでは差が出なくても仕方ありません。介護予防イベントも月1回程度ではちょっと間が空きすぎのように思われます。認知機能の評価に自記式質問票に遂行機能障害やうつ気分を反映する質問を選択していますが、これらはMMSEでも主な対象としてしない機能であり認知機能障害の検出力という点で疑問があります。宿題帳ではやや効果があったとのことですので、もう少し内容や方法を吟味して、検出課題を記憶や構成を中心としたものにしたり、日常生活行動のチェック表の形式にすればかなり違った結果になってくるのではないでしょうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a006】復唱と音読障害を伴う伝道失語のマルチモダールマッピング研究 ☆☆ 「A multimodal mapping study of conduction aphasia with impaired repetition and spared reading aloud」 Barbara Tomasino, Dario Marin, Marta Maieron Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p214-226 【a007】 経頭蓋直流刺激治療後の失読症成人における改善読解力の測定 ☆☆☆ 「Improved reading measures in adults with dyslexia following transcranial direct current stimulation treatment」 Inbahl Heth, Michal Lavidor Neuropsychologia Vol 70 April, 2015, p107-113 発達性難読症(ディスレクシア)の成人を経頭蓋直流刺激(tDCS)を実施した群と偽の刺激を行った群に分け、効果を調査した研究。刺激部位はMT/V5野で2週間5セッション実施した結果、経頭蓋直流刺激群は大幅に音読速度と流暢性に改善がみられたとのこと。この部位が読みに重要であり、少なくとも経頭蓋直流刺激で音読速度と流暢性を改善させられると著者らはしています。 tDCSは頭に1-2mA程度の弱い直流電流を5-30分程度通すことにより神経活動を賦活する治療法です。従来のrTMSと補完的に使用し、脳卒中やうつ病、片頭痛のような多様な病態の治療とリハ効果を高めるための方法として応用と研究が広まっています。これまで前頭前野を刺激して言語流暢性が改善したという報告はありましたが、読みの改善のために側頭頭頂部にあるMT/V5野を刺激したという報告はありませんでした。MT/V5野は視覚の連合野ですが、視覚言語の中枢といわれている角回がその周辺にあるので、その部位を選択したのでしょう。選択は適切であったといえそうです。トム・クルーズやスピルバーグをはじめとして難読症でお悩みの方はかなりいらっしゃいます。リハとの組み合わせ効果など続報が大変期待されます。 【a008】「数唱や無意味音列の復唱は可能であるが複数単語の復唱に困難を示した失語症例 ~言語性短期記憶についての一考察~」 ☆ 宮崎 泰広、藤代 裕子、今井 眞紀、ほか 高次脳機能研究 34卷1号、2014、p17-25 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【f006】多発性硬化症における体力と認知機能との関連 ☆ 「Association Between Physical Fitness and Cognitive Function in Multiple Sclerosis Does Disability Status Matter?」 Brian M. Sandroff, Lara A. Pilutti, Ralph H. B. Benedict, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair Vol 29 March/April, 2015, p214-223 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆05. 頭部外傷 ◆ Head trauma ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ht002】 高齢者における外傷性脳損傷後の脳卒中発症率 ☆ 「Stroke Incidence Following Traumatic Brain Injury in Older Adults」 Albrecht Jennifer S, Liu, Xinggang, Smith Gordon S, ほか Journal of Head Trauma Rehabilitation Vol 30 Issue 2, 2015, p62-67 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 今号では「経頭蓋直流刺激治療後の難読症成人における改善読解力の測定」が最も先進的かつ今後が期待できる論文でした。経頭蓋直流刺激と似たものにrTMS(経頭蓋磁気刺激)もありますが、どちらも2週間程度の入院でリハと組み合わせることにより発症後何年も経った慢性期であっても効果が期待できるというところが大変画期的な治療法です。どちらも患者本人には侵襲も苦痛もなく、時間もMRIを撮るのと大差ない程度でできますので、もっと広まって欲しい方法です。導入の条件も、機器と刺激部位を特定し機器を操作できる脳外科医がいればできますので、脳外科とMRIがあるところなら考慮されることをお薦めします。ただし何に効果があるのか、どのような症例に効果があるのか、このあたりはこれからの研究によります。今回ディスレクシアを選ばれたところは出色でした。今後の研究の進展が非常に期待されます。 他に「日常生活における行動無視の解剖学的部位と心理測定の関係」において提示されている無視の分類と新しい画像診断による損傷部位の関係も注目されます。半側無視についての治療研究は上でも触れたrTMSを用いるもの以外は近年ややいき詰まりを見せていますので、このような新たな方法の導入は突破口のひとつとなるやも知れません。今後の展開を見守りたいところです。 さて、掲載レビューの全てをご覧いただけるメルマガfullsize版は、通常月額540円のところ、現在、創刊記念特別価格 月額270円でご提供させていただいております。ぜひこの機会にご登録いただければと存じます。 なおレビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎次号 発行予定日 2015年6月22日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。 その旨必ずご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク |
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2015 06,08 19:17 |
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【am004】日常生活における行動無視の解剖学的部位と心理測定の関係 ☆☆
「Anatomical and psychometric relationships of behavioral neglect in daily living」 Marc Rousseauxa, Etienne Allarta, Thérèse Bernatia, ほか Neuropsychologia Vol 70 April 2015, p64-70 45例の大脳右半球損傷患者の発症1ヶ月時の無視の状態と日常生活上の行動的困難を分析し、ボクセルベースのマッピングシステムで損傷部位を特定したという研究。結果、日常生活上の無視は上側頭回後部と上縦束を含む側頭頭頂皮質接合部病巣、身体近傍空間無視は上側頭回と下頭頂状回を中心に拡張した皮質病巣、個人内空間無視は体性感覚野と上側頭溝を中心とした病巣、病態失認は後下側頭回および上側頭回病巣で生じていたとのことで、著者らは日常生活上の無視と身体近傍空間無視の強い関連を示唆しています。 個人内空間無視とか身体近傍空間無視というのは、身体を中心とした空間を、1)身体そのものである個人内空間 (personal space)、2)身体表面から数cmから数十cmの範囲で身体を直接取り巻く身体近傍空間(peripersonal space)、3)それ以上に離れた身体外空間(extrapersonal space)の3つに区分し、その考え方に基づいて無視空間を分類したものです。ヒトの空間把握には身体からの距離により差があるのではないかという考え方に基づいています。個人内空間無視は半側身体失認という名称ですと半側空間無視とは別のものというイメージになってしまいますが、この考え方通り連続的なものと捉えた方が合理的でしょう。日常生活上の無視が半側身体失認や病態失認とあまり関連がないというのは特に新しい知見ではありませんが、これらの新しい捉え方が新展開を生む可能性は充分あり今後が期待されます。 【am005】「『電子機器機能の重複現象』の発現機序についてー新たな妄想性誤認症候群の一徴候ー」☆ 高倉 祐樹、大槻 美佳、中川 賀嗣、ほか 神経心理学 31卷1号、2015、p56-69 |
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2015 06,08 19:16 |
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【d007】パーキンソン病における軽度認知障害と基準データの差異によるマチス認知症評価スケールの臨床的妥当性 ☆
「Clinical Validity of the Mattis Dementia Rating Scale in Differentiating Mild Cognitive Impairment in Parkinson's Disease and Normative Data」 Bezdicek O, Michalec J, Nikolai T, ほか Dementia and Geriatric cognitive disorder Vol 39, No.5-6, 2015, p303-311 【d008】 高齢者の前頭側頭型認知症の普及における診断基準の効果 ☆ 「Effect of diagnostic criteria on prevalence of frontotemporal dementia in the elderly」 Thorsteinn B. Gislason, Svante Östling, Anne Börjesson-Hanson ほか Alzheimer's and Dementia Vol 11 Issue 4, 2015, p425-433 【d009】「多様な課題が含まれる「宿題帳」を継続することで農村地域住民の語の流暢性が向上した ─ 自治体主催の介護予防事業の有用性と評価法の検討」☆ 伊関 千書、ほか 日本認知症学会誌 27卷1号、2013、p62-69 40歳以上の農村地域住民26名に計9回の講義・軽体操・レクレーション・座談会等と、民話や童話の音読・簡単な計算・日記・ぬり絵や簡単な図画作成課題などの宿題帳(対象26名中16名)を介護予防事業として実施、認知機能低下やうつ気分を予防しうるか検討した調査の報告。介護予防事業に不参加の66名にも遂行機能障害やうつ気分を評価する自記式質問票を実施しています。結果、7か月間で参加者・不参加者とも遂行機能障害やうつ気分に変化はみられなかったそうですが、宿題帳を行った群では語の流暢性課題のカテゴリー課題にアップがみられたとのことでした。 著者らも述べていますが、40歳以上という年齢設定はどうみても適切ではなかったと思います。これでは差が出なくても仕方ありません。介護予防イベントも月1回程度ではちょっと間が空きすぎのように思われます。認知機能の評価に自記式質問票に遂行機能障害やうつ気分を反映する質問を選択していますが、これらはMMSEでも主な対象としてしない機能であり認知機能障害の検出力という点で疑問があります。宿題帳ではやや効果があったとのことですので、もう少し内容や方法を吟味して、検出課題を記憶や構成を中心としたものにしたり、日常生活行動のチェック表の形式にすればかなり違った結果になってくるのではないでしょうか。 |
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