2025 04,05 11:14 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2015 07,27 10:38 |
|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年7月4週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年7月4週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・概要1件 02. 認知症・・・・・・概要1件 03. 失語症・・・・・・レビュー2件 04. 前頭葉機能ほか・・レビュー1件、概要1件 05. 頭部外傷・・・・・レビュー1件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am008】 中〜重度の記憶障害者におけるスマートフォンやPDA使用の長期維持 ☆ 「Long-term maintenance of smartphone and PDA use in individuals with moderate to severe memory impairment」 Eva Svoboda, Brian Richards, Christie Yao, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p353-373 スマートフォンやPDAの使用トレーニングを行った中〜重度記憶障害10例の12〜19ヶ月後の使用状況の調査。19ヶ月後でも記憶障害の高い信頼性で効果は継続されていたとのことです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d015】「日本語版The Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)の遅延再生における床効果の検討」☆ ☆ 追分千春、大日方千春、田畑千絵、塚田大剛、ほか 老年精神医学雑誌,26巻5号、2015、p0531-0538 記憶障害の評価として日本語版MoCA-Jの記憶と遅延再生を活用できないか234人の患者で検討した研究です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a015】 二重課題パラダイムを用いて、失語症者と非失語症者で注意配分を評価するための新規な視線追跡方法 ☆ ☆ 「A novel eye-tracking method to assess attention allocation in individuals with and without aphasia using a dual-task paradigm」 Sabine Heuer, Brooke Hallowell Journal of Communication Disorders Vol 55, May-June, 2015, p15-30 26名の失語症者と33名の健常者にシングルとデュアルタスクの注意課題を行いアイトラッキング指数との関係を検討したというもの。結果、アイトラッキング手法は失語症の有無にかかわらず注意配分を評価するために有効と考えられたとのことです。 アイトラッキングとは視線移動の軌跡を可視化する手法のことをいいます。注意機能の評価には通常TMTとかストループテストなどを主に使いますが、どちらも文字や言語を使いますので、失語症者では失語でできないのか注意障害でできないのか、判別がうまくできないのが現状です。これはそれを解決しようとするもの。 デュアルタスクを行っているので確かに注意機能の評価になっています。アイトラッカー装置はウェアラブルなものも出て便利になっていますが、結構な値段ですし簡便とはいえないところが問題です。ここが解決しないと普及にはなかなか至らないでしょう。 【a016】「失語症者に対する項目間の意味的関連性を統制した聴覚的理解課題の成績ー状況関連性とカテゴリー関連性を用いてー」☆ 津田 哲也、吉畑 博代、平山 孝子、ほか 高次脳機能研究 33卷4号、2013、p414-420 35名の失語症者と10名健常者に、目標項目1、状況・カテゴリー関連項目1、状況またはカテゴリー関連項目1、無関連項目2、の5択からなる「音声単語と絵のマッチング課題」27 問を実施したというもの。結果、軽度失語群では状況関連性のあるエラーのみがみられ, 中等度失語群ではカテゴリー関連性だけのエラーも出現し, 重度失語群では状況・カテゴリーとも関連のないエラーが出現したとのこと。 失語症者の理解課題の成績には状況関連性も影響を及ぼすことが明らかとなったと著者らは結んでいます。 カテゴリー関連とは「犬」と「猫」というような似たもの、状況関連とは「犬」と「首輪」のように同じ状況におかれるものです。 せっかく状況関連性の影響を指摘しても、この課題で見られるエラーが意味照合の際の状況関連性エラーなのか、音韻認知の際の状況関連性エラーなのか、そこがはっきりしないと議論がぼやけてしまいます。音韻認知に障害のあるケースとないケースに分けて解析すればもっと議論が進むと思われます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【f009】 重度脳損傷によるコミュニケーション不可能患者のコバート認知の保持 ☆☆ 「Preserved Covert Cognition in Noncommunicative Patients With Severe Brain Injury?」 Caroline Schnakers, Joseph T. Giacino, Marianne Løvstad, ほか Neurorehabilitation Neural Repair Vol 29 May, 2015, p308-317 最小の意識状態・植物状態という条件に当てはまる126例と14名のコントロールに自分の氏名を100回聴かせ事象関連電位の変化をみた研究。結果、9例で前頭-頭頂葉に渡る広い範囲で他には見られない反応がみられたとのこと。 これらから患者は表には現れないコバート認知をしており、コミュニケーションに役立つ可能性が考えられたとのこと。 コバート認知とは自分では分からないながら、無意識に脳が情報を受け取って認知して影響を受けているということです。聴覚は五感の中でも最も保持されやすいといわれていますので、これはそれを利用した研究。 一見無反応なようでも脳波は反応しているということで、このような重度例でも快ー不快ぐらいであれば脳波から読み取って表示することができるようになるかもしれません。 【f010】「言語流暢性課題における品詞と加齢の影響」☆ ☆ 李 多晛, 澤田 陽一, 中村 光, ほか 高次脳機能研究 33卷4号、2013、p421-427 若年群(18~23歳)と高齢群(65~79歳)各35名に普通名詞・固有名詞・動詞の言語流暢性課題を実施し,品詞と加齢の影響を調べた研究。結果、高齢群は正反応数が少なく、動詞は特に少なかったとのこと。これは遂行機能の低下によるものではないかと著者らは推測しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆05. 頭部外傷 ◆ Head trauma ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ht005】 外傷性脳損傷後の感情認識のトレーニングの無作為化比較試験 ☆ ☆ 「A Randomized Controlled Trial of Emotion Recognition Training After Traumatic Brain Injury」 Neumann Dawn, Babbage Duncan R, Zupan Barbra ほか Journal of Head Trauma Rehabilitation Vol 30 Issue 3, 2015, pE12–E23 受傷後平均10年、203名の中〜重度の外傷性脳損傷者を3群に分け、1群はコントロール、残り2群には2名の成人の表情認知か、感情的な物語のテスト課題を9時間させ、共感、攻撃性を評価、3ヶ月、6ヶ月後の経過を追ったとのこと。 結果、表情認知はコントロール群に比べて成績はアップしたが、物語のテストは変化がなく、6ヶ月後も同様だったとのこと。今後は感情認識トレーニングと行動との関連を検討したいのことでした。 いわゆる劣位半球症状のトレーニング報告です。この種の報告は非常に少ないので貴重です。劣位半球症状には裏の意味がわからないとか、ユーモアが理解できないとか、感情が読み取れなくなる、などいろいろありますが、今回の報告は感情に絞ったものです。 ともかくも受傷後平均10年も経っていて成績アップがみられたというのは驚きです。ストーリー課題は表情に比べ複雑で、知的能力なども必要ですから変化が見られなかったのではないでしょうか。 著者らも述べている通り、この成績アップが日常生活行動にどのように影響したか知りたいところです。介護者に行動変化を訊いてみるのも良いと思います。続報が待たれます。 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 今号では「重度脳損傷によるコミュニケーション不可能患者のコバート認知の保持」が最も今後が期待される論文であったと思います。論文にあるような重度意識障害例だけでなく、無動性無言や閉じ込め症候群などのコミュニケーション行動が一切みられないケースでは意思疎通は極めて難しく、また回復の手がかりも得にくいものでした。 脳波からYes-noを拾って表示する装置は既に開発されてALS患者などに用いられていますが、この種の症例ではそこまで高度な脳活動はされていないかもしれませんので、もっと何に反応するのか調べることが必要です。それにより快ー不快などの感情や若干の意思など読み取れるようになる可能性が考えられますし、最も反応の大きい刺激を脳波から選択し、それを繰り返すことで脳を活性化し回復させることができるかもしれません。回復への手がかりを感じさせてくれる研究です。 もうひとつ、「外傷性脳損傷後の感情認識のトレーニングの無作為化比較試験」は以前から指摘だけはされていましたが、取り組みとしてはごく少ない劣位半球症状へのリハビリの報告でした。 この種の障害は退院後しばらく家庭などで日常生活を送ってから問題となってくることが多いために、集中的リハビリが入院中に設定されることの多い日本では構造的に取り組まれにくいもののひとつでした。今後の標準化が望まれます。 さて前号でもお伝えしましたが、姉妹版にあたるfullsize版は、諸事情により今月末で休刊させていただくことになりました。Lite版は今後も継続いたしますので、変わらずよろしくお願い申し上げます。 ◎次号 発行予定日 2015年8月10日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。 QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
|
2015 07,27 06:57 |
|
【am008】 中〜重度の記憶障害者におけるスマートフォンやPDA使用の長期維持 ☆
「Long-term maintenance of smartphone and PDA use in individuals with moderate to severe memory impairment」 Eva Svoboda, Brian Richards, Christie Yao, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p353-373 スマートフォンやPDAの使用トレーニングを行った中〜重度記憶障害10例の12〜19ヶ月後の使用状況の調査。19ヶ月後でも記憶障害の高い信頼性で効果は継続されていたとのことです。 |
|
2015 07,27 06:56 |
|
【d015】「日本語版The Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)の遅延再生における床効果の検討」☆ ☆
追分千春、大日方千春、田畑千絵、塚田大剛、ほか 老年精神医学雑誌,26巻5号、2015、p0531-0538 記憶障害の評価として日本語版MoCA-Jの記憶と遅延再生を活用できないか234人の患者で検討した研究です。 |
|
2015 07,27 06:54 |
|
【a015】 二重課題パラダイムを用いて、失語症者と非失語症者で注意配分を評価するための新規な視線追跡方法 ☆ ☆
「A novel eye-tracking method to assess attention allocation in individuals with and without aphasia using a dual-task paradigm」 Sabine Heuer, Brooke Hallowell Journal of Communication Disorders Vol 55, May-June, 2015, p15-30 26名の失語症者と33名の健常者にシングルとデュアルタスクの注意課題を行いアイトラッキング指数との関係を検討したというもの。結果、アイトラッキング手法は失語症の有無にかかわらず注意配分を評価するために有効と考えられたとのことです。 アイトラッキングとは視線移動の軌跡を可視化する手法のことをいいます。注意機能の評価には通常TMTとかストループテストなどを主に使いますが、どちらも文字や言語を使いますので、失語症者では失語でできないのか注意障害でできないのか、判別がうまくできないのが現状です。これはそれを解決しようとするもの。 デュアルタスクを行っているので確かに注意機能の評価になっています。アイトラッカー装置はウェアラブルなものも出て便利になっていますが、結構な値段ですし簡便とはいえないところが問題です。ここが解決しないと普及にはなかなか至らないでしょう。 【a016】「失語症者に対する項目間の意味的関連性を統制した聴覚的理解課題の成績ー状況関連性とカテゴリー関連性を用いてー」☆ 津田 哲也、吉畑 博代、平山 孝子、ほか 高次脳機能研究 33卷4号、2013、p414-420 35名の失語症者と10名健常者に、目標項目1、状況・カテゴリー関連項目1、状況またはカテゴリー関連項目1、無関連項目2、の5択からなる「音声単語と絵のマッチング課題」27 問を実施したというもの。結果、軽度失語群では状況関連性のあるエラーのみがみられ, 中等度失語群ではカテゴリー関連性だけのエラーも出現し, 重度失語群では状況・カテゴリーとも関連のないエラーが出現したとのこと。 失語症者の理解課題の成績には状況関連性も影響を及ぼすことが明らかとなったと著者らは結んでいます。 カテゴリー関連とは「犬」と「猫」というような似たもの、状況関連とは「犬」と「首輪」のように同じ状況におかれるものです。 せっかく状況関連性の影響を指摘しても、この課題で見られるエラーが意味照合の際の状況関連性エラーなのか、音韻認知の際の状況関連性エラーなのか、そこがはっきりしないと議論がぼやけてしまいます。音韻認知に障害のあるケースとないケースに分けて解析すればもっと議論が進むと思われます。 |
|
2015 07,27 06:52 |
|
【f009】 重度脳損傷によるコミュニケーション不可能患者のコバート認知の保持 ☆☆
「Preserved Covert Cognition in Noncommunicative Patients With Severe Brain Injury?」 Caroline Schnakers, Joseph T. Giacino, Marianne Løvstad, ほか Neurorehabilitation Neural Repair Vol 29 May, 2015, p308-317 最小の意識状態・植物状態という条件に当てはまる126例と14名のコントロールに自分の氏名を100回聴かせ事象関連電位の変化をみた研究。結果、9例で前頭-頭頂葉に渡る広い範囲で他には見られない反応がみられたとのこと。 これらから患者は表には現れないコバート認知をしており、コミュニケーションに役立つ可能性が考えられた。 コバート認知とは自分では分からないながら、無意識に脳が情報を受け取って認知して影響を受けているということです。聴覚は五感の中でも最も保持されやすいといわれていますので、これはそれを利用した研究。 一見無反応なようでも脳波は反応しているということで、このような重度例でも快ー不快ぐらいであれば脳波から読み取って表示することができるようになるかもしれません。 【f010】「言語流暢性課題における品詞と加齢の影響」☆ ☆ 李 多晛, 澤田 陽一, 中村 光, ほか 高次脳機能研究 33卷4号、2013、p421-427 若年群(18~23歳)と高齢群(65~79歳)各35名に普通名詞・固有名詞・動詞の言語流暢性課題を実施し,品詞と加齢の影響を調べた研究。結果、高齢群は正反応数が少なく、動詞は特に少なかったとのこと。これは遂行機能の低下によるものではないかと著者らは推測しています。 |
|
2015 07,27 06:48 |
|
【ht005】 外傷性脳損傷後の感情認識のトレーニングの無作為化比較試験 ☆ ☆
「A Randomized Controlled Trial of Emotion Recognition Training After Traumatic Brain Injury」 Neumann Dawn, Babbage Duncan R, Zupan Barbra ほか Journal of Head Trauma Rehabilitation Vol 30 Issue 3, 2015, pE12–E23 受傷後平均10年、203名の中〜重度の外傷性脳損傷者を3群に分け、1群はコントロール、残り2群には2名の成人の表情認知か、感情的な物語のテスト課題を9時間させ、共感、攻撃性を評価、3ヶ月、6ヶ月後の経過を追ったとのこと。 結果、表情認知はコントロール群に比べて成績はアップしたが、物語のテストは変化がなく、6ヶ月後も同様だったとのこと。今後は感情認識トレーニングと行動との関連を検討したいのことでした。 いわゆる劣位半球症状のトレーニング報告です。この種の報告は非常に少ないので貴重です。劣位半球症状には裏の意味がわからないとか、ユーモアが理解できないとか、感情が読み取れなくなる、などいろいろありますが、今回の報告は感情に絞ったものです。 ともかくも受傷後平均10年も経っていて成績アップがみられたというのは驚きです。ストーリー課題は表情に比べ複雑で、知的能力なども必要ですから変化が見られなかったのではないでしょうか。 著者らも述べている通り、この成績アップが日常生活行動にどのように影響したか知りたいところです。介護者に行動変化を訊いてみるのも良いと思います。続報が待たれます。 |
|
2015 07,13 11:24 |
|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年7月2週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年7月2週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 認知症・・・・・・レビュー1件、タイトル1件 03. 失語症・・・・・・タイトル2件 04. 前頭葉機能ほか・・レビュー1件、タイトル1件 05. 頭部外傷・・・・・タイトル1件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am007】 脳卒中後の視空間無視と運動覚障害の関係 ☆ 「Relationship Between Visuospatial Neglect and Kinesthetic Deficits After Stroke 」 Jennifer A. Semrau, Jeffery C. Wang, Troy M. Herter, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair Vol 29 May, 2015, p318-328 脳卒中後の158例について視空間無視と四肢の運動覚障害の関連をBIT行動性無視検査等を用いて調べた研究。結果、視空間無視がある例では100%運動覚障害がみられたが、無視がない例になると運動覚障害は59%で、運動覚障害は必ずしも視空間無視を裏付けないが、視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとのこと。著者らは運動覚障害の評価と治療の重要性を示唆しています。 この場合の運動覚の検出は健側で取らせた肢位を患側で模倣させる、という方法を採っています。これができない場合に運動覚障害と判定されていますが、これだと半側身体失認があっても同じようにできなくなると考えられます。また課題を閉眼で行っていないので視覚的な無視の影響や関節覚などの深部知覚も関連しうると考えられますので、それらを考慮するとこれだけでは必ずしも視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとは言い切れないと思われます。ここはさらなる詳細な検討が望まれます。とはいえ100%という数字は無視できません。私たちはつい視空間のみに注目してしまいがちですが、無視に伴う問題はそれだけではないということはしっかりと押さえておくべきでしょう。むしろ無視が視空間のみに起こることはまれと考える方が現実的かもしれません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d013】 多成分介入ランダム化比較試験による軽度アルツハイマー病患者のリハビリの成果への無意識の影響 ☆ ☆ 「Effect of unawareness on rehabilitation outcome in a randomised controlled trial of multicomponent intervention for patients with mild Alzheimer's disease 」 Bernardino Fernández-Calvo, Israel Contador, Francisco Ramos, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p448-477 61例の軽度アルツハイマー患者にマルチ介入プログラムを16週48セッション実施し、症状の自覚/無自覚が認知・行動等の変化に影響するか調査した研究。結果、自覚のある軽度アルツハイマー患者ではマルチ介入プログラムによる効果は全般に見られたが、無自覚であると効果は感情・行動などの非認知症状のみにとどまった、とのことです。 マルチ介入プログラムとは多様な認知課題や日常生活トレーニング・レクリエーション活動を組み合わせたものです。自覚がないと認知面には変化が見られず、自覚があると認知面含む全般に改善が見られたとのことで、やはり自覚の有無の影響は大きいと言わざるを得ません。自覚がなくても感情・行動などの非認知面が変化したのは、そもそも感情・行動はレクリエーションなどの環境により変化しうるもので、そこに自覚の有無はあまり関与していないためという可能性が考えられます。逆に言えば自覚のない症例でも、感情・行動などの非認知面なら変化しうるということが言えるでしょう。また、自覚/無自覚といってもかなり強く自覚しているケースから、言われればそうかな?ぐらいのケースまでかなり幅があると考えられます。このあたりの自覚の程度と変化の程度との相関はもっと知りたいところです。 【d014】「アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)とレビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies:DLB)における取込型closing-in現象 :最初期のDLBとADの分離における感受性と特異性の検討 」 ☆ 中島 翔子、阿部 浩之、佐藤 卓也、ほか 神経心理学 30卷2号、2014、p150-157 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a013】 音韻論的単純化、音韻論的-音声学的過程の相互作用と発語失行 ☆ 「Phonological simplifications, apraxia of speech and the interaction between phonological and phonetic processing 」 Claudia Galluzzi, Ivana Bureca, Cecilia Guariglia, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p64-83 【a014】 「純粋失読における改善経路の検討ー運動覚性記憶を用いた読みと心像性を手がかりとする読みについてー 」☆ 森岡 悦子、金井 孝典、高橋 秀典 高次脳機能研究 33卷 4号、2013、p395-404 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【f007】「道具把握のみに障害を呈した道具使用失行の1例 症例報告 」 ☆ 早川 裕子、藤井 俊勝、山鳥 重、ほか BRAIN and NERVEー神経研究の進歩 67巻 3号、2015、p311-316 【f008】 病態失認のもうひとつの観点:ビデオ再生での自己観察による運動意識の向上 ☆ 「Another perspective on anosognosia: Self-observation in video replay improves motor awareness 」 Sahba Besharati, Michael Kopelman, enato Avesani, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p319-352 病態失認の2例に対し、急性期の1例はビデオを用いて上下肢麻痺の運動の自己観察を複数回実施、慢性期のもう1例はビデオを用いて自己および他者の上下肢麻痺の運動観察を1回のみ行ない自己観察による運動意識の向上を図ったという報告。結果、両例とも即時に劇的な効果がみられたが、一般化はされなかったとのことでした。著者らはビデオによる自己観察を、暫定的にリハビリテーションプログラムに含めることを推奨しています。 今回の研究はとにかく自己フィードバックを効かせて病識を出させようという試み。回数や刺激内容を工夫したものの根治には至らなかったようでした。病態失認はメタ認知、つまり客観的自己視という難しい概念が絡むため謎の多い症候ですが、脳機能全般に低下がないと出ないことは確かな症状であり、注意障害も必発です。結局、注意障害はなんらかの形で病態失認に絡んでおり、注意機能のアップ、引いては脳機能全般のアップがないと病態失認の改善は得られないか、得られても一時的なものに留まるという解釈が今回の研究の結果からも妥当のように思われます。単に事実を分かりやすく伝えればいいということではないことが分かる研究です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆05. 頭部外傷 ◆ Head trauma ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ht004】 外傷性脳損傷後の拡張自己記憶システムの損傷 ☆ 「Disruption of temporally extended self-memory system following traumatic brain injury 」 Cécile Coste, Béatrice Navarro, Claire Vallat-Azouvi, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p133-145 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 今号の中では、「多成分介入ランダム化比較試験による軽度アルツハイマー病患者のリハビリの成果への無意識の影響」が最も先進的かつ今後が期待できる論文であったように思われました。アルツハイマー病についての自覚の有無が認知リハの効果に差をもたらすという主旨でしたが、これはおそらく認知症に限らず全ての高次脳機能障害についても当てはまるのではないかと思います。リハビリが主体的に取り組むものであることは言うまでもありませんが、単に自覚があると課題に取り組む姿勢が違うというだけではなく、設定した課題以外にも、例えば空いた時間にちょっとでも自主訓練を行ったり、普段からいろいろと工夫したり、頭の中でその日の課題を復習したりというように、自覚があるからこそ時間を有効に使って色々な活動を行える可能性が出てきます。それも含めた効果の違いなのではないでしょうか。逆に言えば自覚をいかに引き出すかがリハビリの効果を高める大きくて大切な鍵といえるでしょう。昨今イメージトレーニングによるリハビリという新たな方法も出てきました。リハビリ効果を高めるための重要な要素として、これから病識や自覚の研究は重点的になされていくと予測されます。 なお当メルマガの姉妹誌であるfullsize版ですが、諸事情により次号で休刊させていただくことになりました。これまでのレビューや今後掲載予定のレビューは別の形で公開させていただく予定でおります。皆様にはご承知おきいただきたく存じます。このLite版の方は今後も変わらず発行継続させていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。 ◎次号 発行予定日 2015年7月20日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク |
|
2015 07,13 09:51 |
|
【am007】 脳卒中後の視空間無視と運動覚障害の関係 ☆
「Relationship Between Visuospatial Neglect and Kinesthetic Deficits After Stroke 」 Jennifer A. Semrau, Jeffery C. Wang, Troy M. Herter, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair Vol 29 May, 2015, p318-328 脳卒中後の158例について視空間無視と四肢の運動覚障害の関連をBIT行動性無視検査等を用いて調べた研究。結果、視空間無視がある例では100%運動覚障害がみられたが、無視がない例になると運動覚障害は59%で、運動覚障害は必ずしも視空間無視を裏付けないが、視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとのこと。著者らは運動覚障害の評価と治療の重要性を示唆しています。 この場合の運動覚の検出は健側で取らせた肢位を患側で模倣させる、という方法を採っています。これができない場合に運動覚障害と判定されていますが、これだと半側身体失認があっても同じようにできなくなると考えられます。また課題を閉眼で行っていないので視覚的な無視の影響や関節覚などの深部知覚も関連しうると考えられますので、それらを考慮するとこれだけでは必ずしも視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとは言い切れないと思われます。ここはさらなる詳細な検討が望まれます。とはいえ100%という数字は無視できません。私たちはつい視空間のみに注目してしまいがちですが、無視に伴う問題はそれだけではないということはしっかりと押さえておくべきでしょう。むしろ無視が視空間のみに起こることはまれと考える方が現実的かもしれません。 |
|
2015 07,13 09:50 |
|
【d013】 多成分介入ランダム化比較試験による軽度アルツハイマー病患者のリハビリの成果への無意識の影響 ☆ ☆
「Effect of unawareness on rehabilitation outcome in a randomised controlled trial of multicomponent intervention for patients with mild Alzheimer's disease 」 Bernardino Fernández-Calvo, Israel Contador, Francisco Ramos, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p448-477 61例の軽度アルツハイマー患者にマルチ介入プログラムを16週48セッション実施し、症状の自覚/無自覚が認知・行動等の変化に影響するか調査した研究。結果、自覚のある軽度アルツハイマー患者ではマルチ介入プログラムによる効果は全般に見られたが、無自覚であると効果は感情・行動などの非認知症状のみにとどまった、とのことです。 マルチ介入プログラムとは多様な認知課題や日常生活トレーニング・レクリエーション活動を組み合わせたものです。自覚がないと認知面には変化が見られず、自覚があると認知面含む全般に改善が見られたとのことで、やはり自覚の有無の影響は大きいと言わざるを得ません。自覚がなくても感情・行動などの非認知面が変化したのは、そもそも感情・行動はレクリエーションなどの環境により変化しうるもので、そこに自覚の有無はあまり関与していないためという可能性が考えられます。逆に言えば自覚のない症例でも、感情・行動などの非認知面なら変化しうるということが言えるでしょう。また、自覚/無自覚といってもかなり強く自覚しているケースから、言われればそうかな?ぐらいのケースまでかなり幅があると考えられます。このあたりの自覚の程度と変化の程度との相関はもっと知りたいところです。 【d014】「アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)とレビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies:DLB)における取込型closing-in現象 :最初期のDLBとADの分離における感受性と特異性の検討 」 ☆ 中島 翔子、阿部 浩之、佐藤 卓也、ほか 神経心理学 30卷2号、2014、p150-157 |
|
2015 07,13 09:48 |
|
【a013】 音韻論的単純化、音韻論的-音声学的過程の相互作用と発語失行 ☆
「Phonological simplifications, apraxia of speech and the interaction between phonological and phonetic processing 」 Claudia Galluzzi, Ivana Bureca, Cecilia Guariglia, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p64-83 【a014】 「純粋失読における改善経路の検討ー運動覚性記憶を用いた読みと心像性を手がかりとする読みについてー 」☆ 森岡 悦子、金井 孝典、高橋 秀典 高次脳機能研究 33卷 4号、2013、p395-404 |
|
忍者ブログ [PR] |