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認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年7月2週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年7月2週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 認知症・・・・・・レビュー1件、タイトル1件 03. 失語症・・・・・・タイトル2件 04. 前頭葉機能ほか・・レビュー1件、タイトル1件 05. 頭部外傷・・・・・タイトル1件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am007】 脳卒中後の視空間無視と運動覚障害の関係 ☆ 「Relationship Between Visuospatial Neglect and Kinesthetic Deficits After Stroke 」 Jennifer A. Semrau, Jeffery C. Wang, Troy M. Herter, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair Vol 29 May, 2015, p318-328 脳卒中後の158例について視空間無視と四肢の運動覚障害の関連をBIT行動性無視検査等を用いて調べた研究。結果、視空間無視がある例では100%運動覚障害がみられたが、無視がない例になると運動覚障害は59%で、運動覚障害は必ずしも視空間無視を裏付けないが、視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとのこと。著者らは運動覚障害の評価と治療の重要性を示唆しています。 この場合の運動覚の検出は健側で取らせた肢位を患側で模倣させる、という方法を採っています。これができない場合に運動覚障害と判定されていますが、これだと半側身体失認があっても同じようにできなくなると考えられます。また課題を閉眼で行っていないので視覚的な無視の影響や関節覚などの深部知覚も関連しうると考えられますので、それらを考慮するとこれだけでは必ずしも視空間無視は運動覚障害を伴いやすいとは言い切れないと思われます。ここはさらなる詳細な検討が望まれます。とはいえ100%という数字は無視できません。私たちはつい視空間のみに注目してしまいがちですが、無視に伴う問題はそれだけではないということはしっかりと押さえておくべきでしょう。むしろ無視が視空間のみに起こることはまれと考える方が現実的かもしれません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d013】 多成分介入ランダム化比較試験による軽度アルツハイマー病患者のリハビリの成果への無意識の影響 ☆ ☆ 「Effect of unawareness on rehabilitation outcome in a randomised controlled trial of multicomponent intervention for patients with mild Alzheimer's disease 」 Bernardino Fernández-Calvo, Israel Contador, Francisco Ramos, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p448-477 61例の軽度アルツハイマー患者にマルチ介入プログラムを16週48セッション実施し、症状の自覚/無自覚が認知・行動等の変化に影響するか調査した研究。結果、自覚のある軽度アルツハイマー患者ではマルチ介入プログラムによる効果は全般に見られたが、無自覚であると効果は感情・行動などの非認知症状のみにとどまった、とのことです。 マルチ介入プログラムとは多様な認知課題や日常生活トレーニング・レクリエーション活動を組み合わせたものです。自覚がないと認知面には変化が見られず、自覚があると認知面含む全般に改善が見られたとのことで、やはり自覚の有無の影響は大きいと言わざるを得ません。自覚がなくても感情・行動などの非認知面が変化したのは、そもそも感情・行動はレクリエーションなどの環境により変化しうるもので、そこに自覚の有無はあまり関与していないためという可能性が考えられます。逆に言えば自覚のない症例でも、感情・行動などの非認知面なら変化しうるということが言えるでしょう。また、自覚/無自覚といってもかなり強く自覚しているケースから、言われればそうかな?ぐらいのケースまでかなり幅があると考えられます。このあたりの自覚の程度と変化の程度との相関はもっと知りたいところです。 【d014】「アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)とレビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies:DLB)における取込型closing-in現象 :最初期のDLBとADの分離における感受性と特異性の検討 」 ☆ 中島 翔子、阿部 浩之、佐藤 卓也、ほか 神経心理学 30卷2号、2014、p150-157 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a013】 音韻論的単純化、音韻論的-音声学的過程の相互作用と発語失行 ☆ 「Phonological simplifications, apraxia of speech and the interaction between phonological and phonetic processing 」 Claudia Galluzzi, Ivana Bureca, Cecilia Guariglia, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p64-83 【a014】 「純粋失読における改善経路の検討ー運動覚性記憶を用いた読みと心像性を手がかりとする読みについてー 」☆ 森岡 悦子、金井 孝典、高橋 秀典 高次脳機能研究 33卷 4号、2013、p395-404 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【f007】「道具把握のみに障害を呈した道具使用失行の1例 症例報告 」 ☆ 早川 裕子、藤井 俊勝、山鳥 重、ほか BRAIN and NERVEー神経研究の進歩 67巻 3号、2015、p311-316 【f008】 病態失認のもうひとつの観点:ビデオ再生での自己観察による運動意識の向上 ☆ 「Another perspective on anosognosia: Self-observation in video replay improves motor awareness 」 Sahba Besharati, Michael Kopelman, enato Avesani, ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 3, 2015, p319-352 病態失認の2例に対し、急性期の1例はビデオを用いて上下肢麻痺の運動の自己観察を複数回実施、慢性期のもう1例はビデオを用いて自己および他者の上下肢麻痺の運動観察を1回のみ行ない自己観察による運動意識の向上を図ったという報告。結果、両例とも即時に劇的な効果がみられたが、一般化はされなかったとのことでした。著者らはビデオによる自己観察を、暫定的にリハビリテーションプログラムに含めることを推奨しています。 今回の研究はとにかく自己フィードバックを効かせて病識を出させようという試み。回数や刺激内容を工夫したものの根治には至らなかったようでした。病態失認はメタ認知、つまり客観的自己視という難しい概念が絡むため謎の多い症候ですが、脳機能全般に低下がないと出ないことは確かな症状であり、注意障害も必発です。結局、注意障害はなんらかの形で病態失認に絡んでおり、注意機能のアップ、引いては脳機能全般のアップがないと病態失認の改善は得られないか、得られても一時的なものに留まるという解釈が今回の研究の結果からも妥当のように思われます。単に事実を分かりやすく伝えればいいということではないことが分かる研究です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆05. 頭部外傷 ◆ Head trauma ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ht004】 外傷性脳損傷後の拡張自己記憶システムの損傷 ☆ 「Disruption of temporally extended self-memory system following traumatic brain injury 」 Cécile Coste, Béatrice Navarro, Claire Vallat-Azouvi, ほか Neuropsychologia Vol 71 May, 2015, p133-145 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 今号の中では、「多成分介入ランダム化比較試験による軽度アルツハイマー病患者のリハビリの成果への無意識の影響」が最も先進的かつ今後が期待できる論文であったように思われました。アルツハイマー病についての自覚の有無が認知リハの効果に差をもたらすという主旨でしたが、これはおそらく認知症に限らず全ての高次脳機能障害についても当てはまるのではないかと思います。リハビリが主体的に取り組むものであることは言うまでもありませんが、単に自覚があると課題に取り組む姿勢が違うというだけではなく、設定した課題以外にも、例えば空いた時間にちょっとでも自主訓練を行ったり、普段からいろいろと工夫したり、頭の中でその日の課題を復習したりというように、自覚があるからこそ時間を有効に使って色々な活動を行える可能性が出てきます。それも含めた効果の違いなのではないでしょうか。逆に言えば自覚をいかに引き出すかがリハビリの効果を高める大きくて大切な鍵といえるでしょう。昨今イメージトレーニングによるリハビリという新たな方法も出てきました。リハビリ効果を高めるための重要な要素として、これから病識や自覚の研究は重点的になされていくと予測されます。 なお当メルマガの姉妹誌であるfullsize版ですが、諸事情により次号で休刊させていただくことになりました。これまでのレビューや今後掲載予定のレビューは別の形で公開させていただく予定でおります。皆様にはご承知おきいただきたく存じます。このLite版の方は今後も変わらず発行継続させていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。 ◎次号 発行予定日 2015年7月20日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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