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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版
2015年11月2週号 目次 01. 認知症・・・・・・レビュー1件 02. 失語症・・・・・・レビュー1件 03. 前頭葉機能ほか・・レビュー1件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 認知症 ◆ Dementia 【d016】軽度から中程度のアルツハイマー病における神経精神症状に対する認知リハビリテーションの介入の影響 ☆ 「Impact of a cognitive rehabilitation intervention on neuropsychiatric symptoms in mild to moderate Alzheimer's disease」 Laurence Brunelle-Hamann, Stéphanie Thivierge and Martine Simard Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 5, 2015, p677-707 15名の軽度〜中等度アルツハイマー病患者に認知リハビリを4週間施行、BPSD(行動・心理症状)の変化を調査したという研究。 結果、コントロール群では運動行動異常が増加する傾向がみられたとのこと。著者らは、今後のアルツハイマー病患者の認知リハ研究は運動行動異常の変化に注目する必要があるだろう、と結んでいます。 アルツハイマー病への認知リハビリは90年代を中心に盛んに研究されましたが、現在のところは認知機能を引き上げるよりも、主に二次的に起こる心理状態の安定化や行動異常の軽減を目的に行われることが多いように思われます。 この研究もその傾向を支持する結果となっています。 住環境や介護環境・運動や日常生活行動・薬物療法の有無など、もう少し効果に影響する要因の検討がなされれば、BPSDへの対応の手段として認知リハビリを明確に位置づけられるでしょう。 ◆02. 失語症 ◆ Aphasia 【a028】 文とそれ以上へ:軽度失語症のシングルケースセラピーの報告 ☆ 「To the sentence and beyond: a single case therapy report for mild aphasia」 Julie Hickin, Beejal Mehta and Lucy Dipper Aphasiology Vol 29 Issue 9, 2015, p1038-1061 左脳塞栓により軽度失語を呈した発症後2年の22歳女性に対し、機能障害ベース療法を週一回16セッション実施したという報告。 結果、症例はセッション終了後にシンデレラの物語叙述で複雑な文を産生することができるようになったとのこと。 機能障害ベース療法は複雑な文章生産や談話能力を向上させる可能性がある、と著者らは結んでいます。 機能障害ベース療法(Impairment-based therapies)とは、まず動詞を想起し、次いで文の構造を策定することに焦点を当てた治療法です。 我が国で行われている統語的アプローチと類似した方法といえるでしょう。 発症後2年で改善がみられたケースですが、この症例がこれまでどんな治療訓練を受けてきたか、そこの詳細が明らかにならないと、 本当に機能障害ベース療法が良かったのか、なぜ改善したのか、という話に繋がらないと思われます。もう少し情報が欲しいところです。 ◆03. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others 【f015】意識障害患者に対する音楽による認知のブースト ☆☆ 「Boosting Cognition With Music in Patients With Disorders of Consciousness」 Maïté Castro, Barbara Tillmann, Jacques Luauté, ほか Neurorehabilitation and Neural Repair vol 29 no 8, 2015, p734-742 ファーストネームで呼びかけをして脳波上反応がみられない意識障害患者13名に対し、音楽が影響するかベッドサイド脳波記録を用いて調査した研究。 結果、連続音を聴かせた後よりも好みの音楽を聴かせた後の方がファーストネームでの呼びかけに事象関連電位で良い反応がみられたとのこと。 著者らは、意識障害を有する患者の認知に音楽が有益な効果をもたらすことを初めて証明した、と述べています。 f009でレビューした「Preserved Covert Cognition in Noncommunicative Patients With Severe Brain Injury?(重度脳損傷によるコミュニケーション不可能患者のコバート認知の保持 )」 の続編のような研究です。 重度意識障害患者でもファーストネームの呼びかけには脳波上反応がみられる場合があるという事実をベースに、音楽で反応を高めたというもの。 今後反応性を高められるかどうか、音楽の他の刺激で有効なものはないか、続報が待たれます。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号の中では「意識障害患者に対する音楽による認知のブースト」が音楽刺激の発展性への期待、という意味で注目されました。 音楽および歌は地球上のあらゆる民族が文化や言語発達の程度に関わらず全て持っていると言われています。 それだけ音楽は我々の深いところに根ざしていると考えられます。 ですので音楽は認知回復の手段として大いに期待できるのですが、昔から取り組まれている割にはなかなかはっきりしたエビデンスは得られませんでした。 おそらく条件が複雑にならざるを得なかったためと考えられますが、この研究のように対象や条件をうんと絞ることにより少しずつ明らかになっていくことでしょう。 今後が期待されます。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年11月2週号(通巻13号) 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2015年11月23日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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