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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版
2015年12月4週号 目次 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 認知症・・・・・・レビュー1件 03. 失語症・・・・・・レビュー1件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory 【am011】認知機能低下を示さないパーキンソン病患者の健忘様の再認/再生記憶障害の研究 ☆ 「 Evidence of an amnesia-like cued-recall memory impairment in nondementing idiopathic Parkinson's disease」 Nicola M J, EdelstynChristopher M, JohnThomas A ほか Cortex Vol.71, 2015, p85-101 30名のパーキンソン病患者と22名の健常者に対し、誘導あり条件と誘導なし条件で再認/再生課題を実施、相関を調べた研究。 結果、再認/再生課題と抑うつ度、およびパーキンソン病患者の遂行機能と誘導なしの記憶再認課題にのみ相関がみられたとのこと。 これらからパーキンソン病患者の再認/再生課題の低下はおそらく不顕性うつ症状によるものであると考えられ、再認/再生課題における遂行機能障害の関与の可能性から、前頭前野の寄与がありうる、と著者らは結んでいます。 ちょっと分かりにくいのですが、記憶の再認/再生課題は方略を使うと有利であり、方略を使うためには遂行機能が必要という考え方に基づいている実験です。 パーキンソン病患者でうつ症状があると、遂行機能が低下し再認/再生課題が低くなる、という論理展開になっています。 あまりそのような印象はないのですが、認知低下がないのに健忘様の症状をみせるパーキンソン病患者がいる、とのことです。 ただパーキンソン病ではいずれ全般的に認知機能が低下してくるため、認知低下を示していなくとも注意を始めとする細かな認知機能のチェックは欠かせないでしょう。 ◆02. 認知症 ◆ Dementia 【d020】logopenic型原発性進行性失語症と軽度アルツハイマー病患者における音韻性短期記憶 ☆ 「 Phonological short-term memory in logopenic variant primary progressive aphasia and mild Alzheimer's disease」 Aaron M. MeyerSarah F. SniderRachael E. ほか Cortex Vol.71, 2015, p183–189 音韻ループ障害の有無を明らかにするために、logopenic型原発性進行性失語症(lvPPA)者と軽度アルツハイマー病患者および健常者について、音韻性短期記憶課題と視空間性短期記憶課題を実施、比較したという研究。 結果、視空間性短期記憶課題では有意差はみられなかったが、lvPPAでは音韻性短期記憶課題が有意に低下していたとのこと。lvPPAは音韻ループ障害を持つという仮説通りであった、と著者らは結んでいます。 logopenic型原発性進行性失語症とは、健忘タイプ、非流暢タイプに次ぐ第三のタイプの進行性失語症と言われています。 脳血管障害による失語症の中でもある種の伝導失語が音韻性短期記憶障害によるものと考えられていますが、このタイプは伝統的に言われる入力側の障害ではなく出力側であるところがポイントです。 理論的には進行性失語でもありえますが、症状や進行具合などまだよくわからない点も多いと思われます。続報が期待されます。 ◆03. 失語症 ◆ Aphasia 【a033】SECTとMAST:原発性進行性失語症の文法的能力を評価するための新しいテスト☆ 「 SECT and MAST: new tests to assess grammatical abilities in primary progressive aphasia」 Ornella V. Billette, Seyed A. Sajjadi, Karalyn Patterson ほか German Centre for Neurodegenerative Diseases (DZNE), Magdeburg Site, Magdeburg, Germany ほか Aphasiology Vol 29 Issue 10, 2015, p1135-1151 原発性進行性失語症(PPA)の下位分類のために、簡単に文法的能力を評価できる文章理解テスト(SECT:聴覚バージョン・視覚バージョン)と文産生テスト(MAST)を作成、 41名のPPA患者と21名のアルツハイマー病患者、30名の健常者に実施したという研究。 結果、患者群ではSECT・MASTとも有意に低下がみられ、自発語・文の省略数との間には強い相関がみられたとのこと。 話し言葉で文法的な難しさをみることのできる簡単なテストとしてSECT・MASTは妥当と著者らは結論づけています。 SECTとMASTは話し言葉に文法的な難しさを反映することのできる簡単なテストです。 進行性失語症では文の省略はあっても文法的能力はあまり低下しないと思われており、文法的能力による下位分類が妥当かどうか分かりません。 このあたりを明らかにするためにも簡便なテストは歓迎すべきでしょう。とりあえず続報が待たれます。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今回は進行性失語症の評価についての論文が二つ挙がりました。 進行性失語については90年代頃に盛んに研究されて以降はあまり目立った進展がない状況が続いていますが、そろそろ新たな展開がみられる時期かもしれません。 認知症は今最も注目される病態ですし、二つともまだこれからの研究ではありますが、今後の展開が期待されます。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年12月4週号(通巻16号) 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2016年01月11日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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