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■認知症・高次脳文献レビュー Lite版
2015年11月4週号 目次 01. 認知症・・・・・・レビュー2件 02. 頭部外傷・・・・・レビュー1件 編集室より ※注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ◆01. 認知症 ◆ Dementia 【d017】高齢患者における認知機能測定力の向上 ☆☆ 「Improving the Measurement of Cognitive Ability in Geriatric Patients」 Lebedeva E, Gallant S, Tsai C ほか The Research Institute of the McGill University Health Centre, Canada ほか Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Vol 40 No 3-4, 2015, p148-157 著者らが開発した高齢者の認知能力の評価尺度GRACEについての続報。 GRACEは高機能な認知評価には向いていないという欠点があったため、新しく5つのアイテムを追加した結果、高いレベルの認知機能でも評価できるようになったとのことです。 GRACE(Geriatric Rapid Adaptive Cognitive Estimate)はMMSEやMoCAとも相関し、所要時間5〜10分程度で高齢者の認知機能を評価できるというテストです。 簡易で検出力が高く、しかも適応範囲が広ければ言うことなしです。特にMMSEはじめこの種のものはレベルの高い人をうまく評価できませんでした。 その欠点が本当に克服されているか、今後が注目されます。 【d018】軽度認知障害と早期認知症患者における遂行機能と転倒リスクの連合 ☆ 「The Association of Specific Executive Functions and Falls Risk in People with Mild Cognitive Impairment and Early-Stage Dementia」 van der Wardt V, Logan P, Hood V ほか Division of Rehabilitation and Ageing, School of Medicine, University of Nottingham, UK Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Vol 40 No 3-4, 2015, p178-185 軽度認知障害と認知症患者42名に五つの遂行機能テストを実施、転倒リスクとの関連を調査したという研究。 結果、転倒リスクは空間記憶能力とやや強い反応力低下に関連がみられたとのこと。転倒リスク軽減のためには空間記憶能力と反応力低下の抑制に絞るべきと著者らは結んでいます。 転倒には身体能力はもちろんですが、不用意な歩き出しとか、障害物の避け方とか、認知機能もかなり関わるということは従前から言われていました。 その流れから反応力低下や空間把握が大切というのはありそうなことですが、検討が遂行機能との関連のみというのはもの足りない印象です。 これ以外にも注意力とか同時処理とか関わりそうな要素はまだ他にもありそうです。続報が望まれます。 ◆02. 頭部外傷 ◆ Head trauma 【ht006】実用認知訓練:外傷性脳損傷者のためのリハビリテーションプログラム ☆ 「Cognitive Pragmatic Treatment: A Rehabilitative Program for Traumatic Brain Injury Individuals」 Journal of Head Trauma Rehabilitation Vol 30 Issue 5, 2015, pE14-E28 Gabbatore Ilaria, Sacco Katiuscia, Angeleri Romina Bara ほか 重度外傷性脳損傷者15名に実用認知訓練(CPT)を実施、トレーニングの前後での変化をコミュニケーション・アセスメント・バッテリー(ABaCo)などを用いて比較した研究。 結果、言語・非言語・パラ言語すべての側面における理解・産生ともに改善がみられ、終了3ヶ月後のチェックでも維持されていたとのこと。 著者らは慢性患者へのCPTプログラムの有効性を主張しています。 Cognitive Pragmatic Treatment (CPT)とは、24グループのセッションからなり、病識と遂行機能に効果的な、複数のコミュニケーションモダリティからなるプログラムとのことです。 ただやはり比較対象となる方法が設定されていないと、この方法が特異的に優れているのか、別の方法でも代替可能なのかという根本的なことがわかりません。比較検討の報告が待たれます。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号の中では「高齢患者における認知機能測定力の向上」がやや注目されました。 これまで簡易に認知機能を評価する方法というとMMSEやMOCAが挙げられましたが、これらは主に認知症検出を基本として考えられているため、軽度認知障害や予備群である健常な高齢者の認知機能の低下傾向を把握しきれませんでした。 ここしばらくNHKスペシャルでも認知症が続けて特集されていますが、その中でもこれら予備群や初期認知症のケースが予防という観点から注目されていました。 あと10年もすれば国内の認知症と認知症予備群に入る人口は1,000万人を超えると言われています。これらの簡易な検出は非常に望まれていると言えるでしょう。 ◎認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年11月4週号(通巻14号) 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ◎次号 発行予定日 2015年12月14日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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