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【vol.000 目次】 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 認知症・・・・・・レビュー1件、リスト2件 03. 失語症・・・・・・レビュー1件、リスト3件 04. 前頭葉機能ほか・・リスト1件 05. 頭部外傷・・・・・リスト1件 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am000-1】ワーキングメモリー訓練と意味構成は過去の出来事 より未来の出来事の記憶を促進する 「Working Memory Training and Semantic Structuring Improves Remembering Future Events, Not Past Events」 Kim Merle Richter, Claudia Mödden, Paul Eling, ほか Neurorehabil Neural Repair Vol 29 January, 2015, p33-40 http://nnr.sagepub.com/content/29/1/33.abstract 36例の記憶障害を持つ脳損傷者を9時間づつ、ワーキングメモリー課題・意味構成課題・語の列挙課題を行う群と、通常の記憶トレーニングを行う群に分け比較。結果、ワーキングメモリー課題と語の列挙課題の成績に大きく向上がみられ、展望記憶にも改善がみられたという報告。ただしエピソード記憶には変化はなかったそうです。 意味構成課題と語の列挙課題が記憶障害の改善に効果的、という先行研究を受けての研究で、これはそれを発展させたもの。意味構成課題は絵のカテゴリー分けなどをさせる課題は通常は脳機能全般を活性化させるのに使います。語の列挙は動物などをたくさん思い出させる課題で主に前頭葉機能障害の課題として使われるもの。著者らはこれらとワーキングメモリー課題の組み合わせが展望記憶のリハビリとして有用な可能性がある、と結論づけていますが、ワーキングメモリーは記憶の一時貯蔵庫のこと、展望記憶はこれからの予定の記憶ですから、ワーキングメモリーだけに問題があるケースなら展望記憶と関連しそうですからこの結果はうなづけますが、記銘力に問題があるとか、長期記憶に問題があるケースでも効果があるかは疑問です。語の列挙などを使っていることから、今回の結果が脳機能全般の改善を促したにすぎない可能性もあります。とはいえ、記憶障害の改善は一般に難しいことが多く、脳機能全般の改善に伴う記憶の改善か記銘力の改善以外にはなかなか有効なアプローチがないのが現状ですから、手がかりになりそうなこのような研究報告は貴重です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d000-1】「老健における認知症短期集中リハビリテーション :脳活性化リハビリテーション5原則に基づく介入効果」 関根麻子、永塩 杏奈、高橋久美子、ほか 日本認知症学会誌、27巻3号、2013、p360-366 http://dementia.umin.jp/27-3-360-366.pdf MMSE等で5〜25点と認知機能低下がみられる老健入所者122名に、週3回20分以上の脳活性化リハ5原則に基づいた個別リハを3ヶ月実施したところ、約1/3から半数のケースでなんらかの改善がみられたとの報告。認知機能(MMSE等平均1.5点アップ)の改善だけでなく、抑うつや意欲低下、BPSDの軽減効果もみられたとのこと。脳活性化5原則とは著者らが2010年に提唱した認知症者が前向きに生きることを目指すリハビリ方法で、プログラムは特別なものではなく、快(笑顔)・会話・褒める・役割・成功体験の5つを入れつつリハビリを実施することが特徴とされています。 これまで認知症の認知リハビリについては個別・グループ含め様々な試みがされていますが、総合するとこの課題が良い、といったものは特になく、個別・グループに関わらず対人の中での楽しいやりとりをすることによって、認知機能が若干なりとも上がったり、笑顔が増えたり、積極的になったりすることがある、ということがわかってきています。楽しいやりとりをシステム化するための方法としては、フランス発のユマニチュードとか、くもんの学習療法などが体系的でツールとしても優れていますが、これもそのひとつといえるでしょう。ただし比較対象が設定されていないので、他法と効果に違いがあるのか、この方法はどの点が優れているのか、といった疑問には答えられていません。どの程度5原則を入れることができたか、セラピストによって差が生じていないか、という疑問も残ります。学習療法のように誰にでもできるようなシステム化ができると使いやすくなるでしょう。 【d000-2】マルチ刺激グループ療法によるアルツハイマー病の 脳機能変化の促進 「Multistimulation Group Therapy in Alzheimer’s Disease Promotes Changes in Brain Functioning」 Francesca Baglio, Ludovica Griffanti, Francesca Lea Saibene, ほか Neurorehabil Neural Repair Vol 29 January, 2015, p13-24 http://nnr.sagepub.com/content/29/1/13.abstract 【d000-3】 ミニ・アデンブルック認知検査 :新しい認知症評価ツール 「The Mini-Addenbrooke's Cognitive Examination: A New Assessment Tool for Dementia」 Hsieh H, McGrory S, Leslie F, ほか Dementia Geriatric Cognitive Disorders Vol 39, 2015, p1-11 http://www.karger.com/Article/Abstract/366040 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a000-1】コンピュータ化した改訂トークンテスト(CRTT)の信頼性と妥当性:失語症と健常者での聴理解と読解バージョンの比較 「Reliability and validity of the Computerized Revised Token Test (CRTT): Comparison of reading and listening versions in persons with and without aphasia」 Malcolm R. McNeil, Sheila R. Pratt, Neil Szuminsky, ほか Journal of Speech, Language, and Hearing Research, January 7, 2015. http://jslhr.pubs.asha.org/Article.aspx?articleid=2089545 コンピュータで改訂トークンテスト(McNeil & Prescott, 1978)を、1)文、2)自分で操作し1単語ずつ表示させる文、3)自分で操作し1単語ずつ置き換えて表示させる文、の3条件で読解、そして通常の聴覚的理解を実施、30例の失語症者と健常者の差異を調査した、という研究。結果、聴覚的理解と読解に差はみられたものの、読解の3バージョンには健常者も失語症者も成績の差はなく、3バージョンの読解は同じ言語処理システムを使っているのであろう、という結論です。 発想は面白かったと思いますが、特に差はなかったとのことで残念な結果でした。ここで差が出れば新たな練習法の提案ができた筈ですが、目論見は当たりまでんでした。結局、読解は1単語ずつ見ながら情報処理しているので、文で一気に見せられても、1単語ずつ見てもやってることは同じで差はないのだと思います。自分で操作するのがミソですが重要な要素ではありませんでした。視覚的即時記憶に問題があるケースであれば差が出たと思いますが、ケースとしてはまれですから、わざわざこれを導入する意味は薄そうです。 【a000-2】 失語症者における単語ストループ課題中の意図的あるいは反応的抑制 「Intentional and reactive inhibition during spoken-word Stroop task performance in people with aphasia」 Rebecca Hunting Pompon, Malcolm R. McNeil, Kristie A. ほか Journal of Speech, Language, and Hearing Research, Just Accepted, released February 11, 2015. http://jslhr.pubs.asha.org/Article.aspx?articleid=2119172 【a000-3】ブローカ失語における動詞喚語と文産生のための単語セラピーと文セラピーの比較 「Comparison of single-word therapy versus sentence therapy for verb retrieval and sentence production in Broca’s aphasia」 Toru Takizawa, Natsumi Nishida, Akito Ikemoto, ほか Aphasiology Vol 29, Issue 2, 2015, p169-194 【a000-4】意識の評価に関する失語症の影響ー横断的研究 「Impact of Aphasia on Consciousness Assessment: A Cross-Sectional Study」 Caroline Schnakers, Helene Bessou, Ilona Rubi-Fessen, ほか Neurorehabil Neural Repair Vol 29, January 2015, p41-47 http://nnr.sagepub.com/content/29/1/41.abstract ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【f000-1】脳損傷者における調理課題の信頼性 「Reliability of the Cooking Task in adults with acquired brain injury」 Frédérique Poncetabcd, Bonnie Swainecd, Chantal Taillefera, ほか Neuropsychological Rehabilitation: An International Journal, Vol 25, Issue 2, 2015, p298-317 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆05. 頭部外傷 ◆ Head trauma ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ht000-1】頭部外傷者の自己認識にフィードバックはどう影響するか? 「Does feedback influence awareness following traumatic brain injury?」 Cally Richardsonac, Adam McKayab, Jennie L. Ponsfordac Neuropsychological Rehabilitation: An International Journal Vol 25, Issue 2, 2015, p233-253 PR |
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