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【d021】介護負担と患者の神経精神症状は、認知障害の介護者の評価に影響する ☆
「Burden of Care and Patient's Neuropsychiatric Symptoms Influence Carer's Evaluation of Cognitive Impairment」 Persson K, Brækhus A, Selbæk G ほか Norwegian National Advisory Unit on Ageing and Health, Vestfold Hospital Trust, Tønsberg, Norway ほか Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Vol. 40, No. 5-6, 2015, 256-267 20名の前頭側頭型認知症者と介護者、30名のアルツハイマー病者と介護者にNPI・認知症障害評価(DAD)、コーネル認知症・うつ尺度(CSDD)、老人不安尺度(GAI)などを実施、 認知症介護者の負担と精神的苦痛に影響する要因を調査したという研究。 結果、両群ともに患者の精神症状の程度と介護者の精神的苦痛は相関していたが、前頭側頭型認知症の介護者の方がより介護負担感を感じていた、とのことでした。 患者の怒りや妄想などの精神症状が強いほど介護者の精神的苦痛が強まるのは納得のいくところです。 前頭側頭型認知症の介護者の方がより介護負担感を感じていたのは、前頭側頭型認知症では脱抑制や常同行動,被影響性の亢進などの行動障害が顕著にみられるためでしょう。 これら前頭葉損傷に特徴的な症状は実際の問題行動となって現れるため身体的な介護負担となってくるものと思われます。幻覚などの強いレビー小体性認知症との比較も知りたいところです。 【d022】前頭側頭型認知症とアルツハイマー病における神経精神症状および介護者の負担と苦痛 ☆ 「Neuropsychiatric Symptoms, Caregiver Burden and Distress in Behavioral-Variant Frontotemporal Dementia and Alzheimer's Disease」 Lima-Silva T.B, Bahia V.S, Carvalho V.A ほか de Pesquisa em Neurologia Cognitiva e do Comportamento, Brazil Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Vol. 40, No. 5-6, 2015, 268-275 742名の軽度認知障害者と1090名の認知症者に、高齢者認知機能低下アンケート(IQCODE)、ロートンとブロディIADLスケール、神経精神評定アンケート(NPI-Q)、 ストレススケール(RSS)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、時計描画テスト(CDT)を実施、認知機能などIADLに関連する要因を調査したという研究。 結果、配偶者に評定してもらったIQCODE得点は客観評価に比べ低くなる傾向があったとのこと。 ここから介護者による認知機能やIADLの評定には負担感が大きく影響すると考えられた、と著者らは結論づけています。 身近な介護者に認知機能や日常行動をチェック表やアンケートなどで評定してもらう形式の評価法は幾つかありますが、その客観性を検討した研究です。 同じ介護者でも配偶者は重めに判定してしまうとのことで、介護者を配偶者や家族など種類分けしたのは興味深い視点でした。 客観的テストと日常行動チェックは評価の両輪でどちらも不可欠なものですから、できるだけ正確な解釈ができるよう精度を高めていきたいものです。 【d023】経頭蓋直流電流刺激とアルツハイマー病のリハビリテーションにおける認知トレーニング:ケーススタディ ☆☆ 「Transcranial direct current stimulation and cognitive training in the rehabilitation of Alzheimer disease: A case study」 Barbara Penolazzi, Susanna Bergamaschi, Massimiliano Pastore, ほか Department of General Psychology, University of Padua, Italy ほか Neuropsychological Rehabilitation Vol 25, Issue 6, 2015, p799-817 軽度アルツハイマー病の60歳男性に経頭蓋直流電流刺激 (tDCS)を行い認知機能の変化を測定したという研究。 第一サイクルでは10セッション・2mA刺激を20分に最も障害された認知機能に関する課題を実施。 第二サイクルではプラセポ刺激と同様の認知機能に関する課題を行ったというもの。結果、第一サイクル中は認知機能の低下速度が鈍ったように見えたとのこと。 さらなる確認を必要とするが、tDCSは認知リハの補助ツールとしての可能性がある、と著者らは結んでいます。 奏功すれば画期的と思われますが、問題は電流刺激をどのあたりにするかというところです。 最も認知障害の顕著な領域というところでしょうが、あまり特定できない場合や大きな差がない場合はどうすれば良いのか、そもそも刺激は本当にそのあたりで良いのか、疑問は尽きません。 まだ1症例に試しただけという段階ですから、今後が重要でしょう。 ─────── ◆編集室より ◆ ─────── 今号では認知症関連のものばかりになってしまいました。この中では、アルツハイマー病に経頭蓋直流電流刺激を試みた研究が注目されました。 もともと脳に電流を流す治療はうつ病に対して1950年代以前から行われていたもので、いろいろと形を変えて今に至っているものです。 運動障害・認知障害のリハビリの補助ツールとして期待が高まっていますが、認知症に対しては未知数です。その分今後化けるかもしれません。 tDCSは経頭蓋磁気刺激法(TMS)との組み合わせが有効と言われていますので、そちらも期待されます。 PR |
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