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認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年9月2週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年9月2週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 失語症・・・・・・レビュー2件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※ 注目度を☆・☆☆・☆☆☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am009】Googleカレンダー:重度記憶障害者による単一実験デザインスタディ ☆ ☆ 「Google Calendar: A single case experimental design study of a man with severe memory problemsm」 Victoria N. Baldwin and Theresa Powell Neuropsychological Rehabilitation Vol 25 Issue 4, 2015, p617-636 重度記憶障害と遂行機能障害を伴う外傷性脳損傷の43歳男性に記憶補助として携帯電話のGoogleカレンダーの使用を試みたという報告。 6週間のベースライン期の後、6週間使用し、改善度合いを評価したところ、3ターゲットを使った記憶課題・主観的尺度ともに改善がみられたとのこと。 著者らはGoogleカレンダーの有効性を強調するとともに、症例が他の記憶補助手段にはとても消極的であったことから、個人のライフスタイルや信念に合う記憶補助手段の選択が重要としています。 これまでにも記憶補助手段として携帯電話のスケジュール機能を利用したという報告は複数ありましたが、今回はより具体的にGoogleカレンダーを用いたという報告です。 この種のものはどれが優れているかということよりも、どういうものに慣れていてその人が使いやすいか、ではないかと思います。 症例は43歳と若くIT機器にも馴染みがある世代と考えられ、それゆえGoogleカレンダーが用いやすかったのでしょう。 判に押したように従来機器を推奨することなく、世代に合わせた対応は確かに必要です。 ただ今後IT機器は全世代に普及していくと考えられますので、記憶補助手段はより高機能で利便性の高いものの導入が容易になっていくことでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a020】失語症における動詞産生上の個人ー社会性指向グループ療法の効果 ☆ 「Effects of impairment-based individual and socially oriented group therapies on verb production in aphasia」 Elizabeth Louise Hoover, David Caplan, Gloria Waters ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p781-798 12名の慢性失語症者に6週間の間隔を置き個人・グループ・混合の条件で動詞訓練を行ったという研究。 結果、言語機能・コミュニケーション能力・QOLで有意な変化がみられたが、個人・グループ・混合の条件による差はなかったとのことでした。 個人訓練とグループ訓練のいずれが優れているか、というのはずっと議論されている問題です。 いまだに結論は出ておらず、今回の報告でも差はなかったとのことですが、グループにはグループの長所、個人には個人の長所があるのは間違いないと思われます。 そして外向的な人と内向的な人があるように、個々人の性質によってグループに向いているケースと個人に向いているケースがあるというのが本当のところではないでしょうか。 もうひとつ、グループ訓練はファシリテーターの技量や構成員の資質によって治療効果が大きく左右されます。 盛り上げ役やムードメーカーというような存在の有無です。そのあたりをどのようにコントロールするか。 これはこうした調査を行うには考慮されるべき重要な問題と考えられます。 【a021】 脳卒中後の早期失語症訓練:急性期と亜急性期における行動および神経生理学的変化 ☆ 「Aphasia therapy early after stroke: behavioural and neurophysiological changes in the acute and post-acute phases」 Annelies Aerts, Katja Batens, Patrick Santens, ほか Aphasiology Vol 29 Issue 7, 2015, p845-871 脳血管障害で発症した47歳中程度非流暢性失語の男性。 急性期に7週間で30時間の従来的言語訓練、亜急性期の3週間に30時間の集中的言語訓練、さらにあと3週間に30時間の第2期集中的言語訓練を実施したという研究。 それぞれの期ごとにN400およびP300の事象関連電位を測定し行動および神経生理学的変化をみています。 結果、症例はどの訓練後でも全般に事象関連電位に改善を認め、非治療期にも改善は維持されたが、N400でみると集中的言語訓練の方が従来的訓練に比べ良好であった、とのことでした。 事象関連電位 (ERP) とは、計測される脳波の中で思考や認知などの結果と考えられる波形です。 P300やN400がよく用いられ、N400 とは刺激提示から約 400 ミリ秒後に発生する陰性の電圧変位、P300 成分とは刺激提示から 300ミリ秒後に発生する陽性の電圧変位です。これが現れるとなんらかの高次脳活動がなされたということになりますが、もちろん詳細なことまではわかりません。 この研究では改善指標として事象関連電位を使っていますが、これで分かるのはあくまで何らかの高次の脳活動がみられたということだけです。 詳細は分かりませんから、やや割り引いて考える必要があります。 それでこの集中的言語訓練は3週間に30時間ですから1日平均で約1.5時間という計算になります。 比較対象になっている従来的訓練の方は7週間で30時間ですから1日平均0.6時間です。 集中的言語訓練は従来的訓練の2.5倍行っている計算になりますね。 これだけではなんともいえませんが、発症からの時期よりも実施の合計時間の方が改善要素として大きい可能性もあります。 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 「Googleカレンダー:重度記憶障害者による単一実験デザインスタディ」は急速に生活スタイルが変わりつつある現代を反映した論文であったと思います。 テレビをほとんど見ず、スマホを使って動画サイトや音楽を楽しみ、LINEを中心にコミュニケーションをとる世代と、IT機器をほとんど使わずテレビと新聞と電話で生活する世代とでは、嗜好も馴染みも生活スタイルも全く異なると考えられます。 これからの世界では人々の生活スタイルはもっともっと細分化し、好みも生き方も多様になってくることでしょう。 当然ニーズも様々になってきますので、これを一括りに考えず、それぞれに合わせた数多くの選択肢を用意することが望ましいでしょう。 普段からの世情の情報収集と相応の準備が求められます。 ◎次号 発行予定日 2015年9月28日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。その旨必ずご了承ください。 ◎レビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。 QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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