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認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年5月4週号 毎月第2・第4月曜日発行 発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2015年5月4週号 目次】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 01. 注意・記憶系・・・レビュー1件 02. 認知症・・・・・・レビュー1件、タイトル2件 03. 失語症・・・・・・レビュー1件、タイトル2件 04. 前頭葉機能ほか・・タイトル3件 編集室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■ ※注目度を☆で表しています ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆01. 注意・記憶系◆ Attention & Memory ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【am003】 半側空間無視症状の客観的把握のための評価ツールの開発☆☆☆ 河島 則天、鴨志田 敦史、中川 雅樹、ほか 総合リハ 43巻 3号、2015、p251–257 半側空間無視の評価ツールとして色や点滅によって無視空間への注意を促しタッチパネルで操作できるアプリを試作、右半球病変脳卒中患者8名に試用したという研究。結果、色・点滅・順序性によって見落とし数,所要時間が変化した、とのこと。著者らは反応時間の空間分布特性を評価することで,無視症状の客観的把握と軽微な無視症状検出が可能と結んでいます。 順序や刺激密度によって見落としの程度が変わることはこれまでにも知られていましたが、色や点滅というのは刺激として新しいと思います。タッチ式のアプリというのも利便性やデータ収集・解析を考えると非常に発展性があります。欲を言えば現実場面では人や車などの動的な対象への注意が安全面からも欠かせませんが、おそらく動的なものと静的なものでは無視の度合いも異なるでしょうから、ぜひこれに動的な対象も加えて欲しいものです。静的な対象との比較データがあると興味深いですね。まだデータ数が圧倒的に少ないようですが、多量のデータを集め完成度を高めていただければ、評価ツールとしてだけでなく、自主トレーニング機器としてなど今後大きな展開が期待できると思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆02. 認知症 ◆ Dementia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【d004】身体活動とよりよい服薬コンプライアンスは、高齢者のMMSEスコアを改善する☆ Physical Activity and Better Medication Compliance Improve Mini-Mental State Examination Scores in the Elderly Guimarães F.C.a、Amorim P.R、Reis F.F.a、ほか Dementia and Geriatric cognitive disorder Vol.39, 2015, p25-31 【d005】「記憶の城」:アルツハイマー病における自伝的記憶のための認知トレーニングプログラムからの新しい洞察 ☆☆ “The Castle of Remembrance”: New insights from a cognitive training programme for autobiographical memory in Alzheimer's disease Jennifer Lalanne, Thierry Gallarda and Pascale Piolino Neuropsychological Rehabilitation Vol.25, Issue 2, 2015, p254-282 【d006】遅くなく速い。健忘傾向の軽度認知障害患者の既知感の保持☆ Fast, but not slow, familiarity is preserved in patients with amnestic mild cognitive impairment Gabriel Besson, Mathieu Ceccaldi, Eve Tramoni, ほか Cortex Vol.65, April, 2015, p36-49 健忘傾向のある軽度認知障害患者19例と健常群22名にエピソードのYes-No再認課題を行い、エピソード記憶のうちの詳細情報と既知感のどちらが保持されるかを調べた研究。結果、健忘軽度認知障害患者はエピソードの詳細は覚えていないものの既知感は保持されており反応時間も速かったとのことでした。著者らは既知感が保たれているのは既知感が潜在記憶と顕在記憶の境界の存在だからではないか、と結んでいます。 エピソードの記憶は「いつ」「どこで」などのエピソードの詳細情報(recollection)の部分と、経験したことがあるか否かという既知感(familiarity)の部分から構成されるとされており、高齢者では詳細情報は忘れても既知感は保たれることが近年わかってきました。これはそれを認知障害例で調査した研究です。やはり同傾向だったということで、予測通りの結果というべきでしょう。反応時間が健常群より速かったそうで、著者らは健常群には難しすぎたためではないかとしていますが、となると課題の難易度設定に検討の余地がありそうです。それはともかくとして、エピソード記憶の詳細情報が既知感と全く別に保持されているとすると、既知感を強化しても詳細情報に影響しうるのかどうか、さらに他の記憶や認知機能、日常行動にもどう影響するか、このあたりは全く未知数です。とりあえず研究が進むのを待つしかありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆03. 失語症 ◆ Aphasia ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【a003】失語症者との会話における具体化練習としての指差し☆ Pointing as an embodied practice in aphasic interaction Anu Klippi Aphasiology Vol.29, Issue 3, 2015, p337-354 【a004】会話に焦点を当てた失語症セラピー:文法障害に対する工夫の検討☆ Conversation focused aphasia therapy: investigating the adoption of strategies by people with agrammatism Suzanne Beeke, Firle Beckley, Fiona Johnson,ほか Aphasiology Vol.29, Issue 3, 2015, p355- 377 失語症者と会話パートナーによる会話セラピーの6ヶ月の経過を追った研究。評価のためのプレセラピー期、セラピー期、フォローアップのためのポストセラピー期の3期8週ごとに分けられています。結果、1例は会話の質・量ともに変化を示したが、1例は量的な変化のみを示し、両例とも会話パートナーの行動に障壁的な行動の減少がみられたとのことです。これらから会話セラピーは工夫による困難の低減というよりは、会話パートナーの障壁的な行動の減少と思われた、と著者らは結んでいます。 言語聴覚士が会話で改善を図ろうとするやり方は日本では随分下火になってしまいましたが、1970年代にはかなり中心的な方法でした。問題は話者の技量を要することで、それを広めることが難しく下火になっていったと思われます。今は会話パートナーを言語聴覚士が養成することで実用コミュニケーションをアップさせようというやり方に変化しています。会話パートナーが長く綿密に患者と付き合うことで会話パートナーの技量が向上しコミュニケーションが促進されるという仕組みになっています。この研究結果もそれを表しています。ただ会話パートナーによる会話セラピーを推すなら他のセラピーを行った比較対象が欲しいところです。 【a005】 左側頭頭頂葉皮質下出血により失語症を呈した慢性期症例に対する音韻符号化訓練ーSelf-generated cueとしての五十音表活用☆ 鈴木 恒輔 言語聴覚研究 12巻 1号、2015、p33-41 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆04. 前頭葉機能ほか ◆ Frontal function & others ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【f003】 模擬的買い物訓練が要介護高齢者の認知機能に与える影響☆ 小枝 周平、澄川 幸志、小池 祐士、ほか 作業療法ジャーナル 49巻 4号、2015、p361-367 【f004】 立方体透視図模写の定量的採点法の開発 ―当院脳神経外科患者による描画から―☆ 依光 美幸、塚田 賢信、渡邉 康子、ほか 高次脳機能研究 33卷 1号、2013、p12-19 【f005】 パーキンソン病・アルツハイマー病における時間認知障害☆☆ 本間 元康、黒田 岳志、二村 明徳、ほか BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 67巻 3号、2015、p297-302 ────────────────────────── ◆編集室より ◆ ────────────────────────── 今号で取り上げた論文の中では「半側空間無視症状の客観的把握のための評価ツールの開発」が最も先進的で今後の発展が期待できる注目論文と言えるでしょう。同じリハビリプログラムを実施していても、練習量が違うと効果に差が出ることが近年の研究で分かってきています。いかに練習時間を確保するか、それが大きな鍵となってきますが、現状ではマンツーマンのリハビリには色々な制約があり、足りない時間は自主トレーニングで補うのが最も現実的な方法です。その自主トレーニングをいかに確実にしかも有効に行うか、これがリハビリ効果を高めるために今後求められていくでしょう。そのためのツールとしてのタブレット端末や携帯通信機器を使った自主トレーニング方法は大きな可能性を秘めています。 なおレビューの中でよく分からない箇所や解説を求めたい部分がございましたら下記アドレスまでメールでお気軽にお尋ねください。QAとしてメルマガ内でお答えさせていただきます。 ところで掲載レビューの全てをご覧いただける当メルマガのfullsize版ですが、通常月額540円のところ、ただ今、創刊記念特別価格として月額270円とさせていただいております。この機会にぜひfullsize版をご購読下さい。 お申し込みは http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ より。 ◎次号 発行予定日 2015年6月8日(月) ◎おことわり:記事のレビューおよび解説は執筆者個人の所感であり、 必ずしも学術的な定説に従わない場合があります。 その旨必ずご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 認知症・高次脳文献レビュー Lite版 〜 忙しい医療・福祉職のための最新知識 〜 2015年5月4週号 (通巻2号) 毎月第2・第4月曜日発行 ◎発行:ブレイン・ボイス・ネットワーク http://brainvoicenet.aikotoba.jp/ ─────────────────────────── ◎普段忙しくて認知症・高次脳機能障害の医療・看護・リハビリ関連の 文献に 目を通すことができない医療・福祉職の方へ、主な和・洋文献から 注目の 最新論文を意義や背景を解説しつつご紹介するメルマガです。 ブラッシュアップ・キャリアアップにお役立て下さい。 ◎文献レビューは注目度が高いと思われるものを編集室で選択しております。 そのため掲載される文献の領域は毎号異なります。 ◎内容に関するご質問・お問い合わせ先: → brain.voice.net@gmail.com ◎fullsize版では掲載レビューの全てをご覧いただけます。 月額540円(1号当たり270円)。 申し込み月無料。 キャンセルも簡単にできます。 ◎月単位でバックナンバーもご購入いただけます。 バックナンバー掲載レビューのリストはこちら → http://brainmailnews.asukablog.net/ バックナンバーご購入はこちら → http://www.mag2.com/m/0001654905.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C). ブレイン・ボイス・ネットワーク PR |
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